「なえうぇる」充実・発展へ 東京のモアトゥリーズ ワーケーションで現地活動

▲ イコウェルすみたで種を選別する関係者ら

 東京都港区に本部を置く一般社団法人・モアトゥリーズ(隈研吾代表理事)は、住田町内で8日から10日まで、「ワーク」と「バケーション」を掛け合わせた「ワーケーション」を行っている。交流人口拡大なども視野に入れた森づくりを進める狙いで、同法人が町などと連携して展開する「種から山の彩りプロジェクト(なえうぇる)」の充実・発展を図ろうと、地元関係者との連携を深めながら活動に臨んでいる。(清水辰彦)

 

 同法人のワーケーションは、港区が展開する「連携自治体ワーケーション促進事業」の一環。同事業は区内の事業者と全国各地域をつなぎ、それぞれが抱えている課題の解決や新たなビジネスマッチングの創出を目指すもので、住田町も連携自治体となっていることから、事業を活用して来町した。
 「なえうぇる」は、町と同町の一般社団法人・邑サポート(奈良朋彦代表理事)、モアトゥリーズの3者連携によって令和5年度にスタートしたプロジェクトで、森づくりを通じた町内外の住民交流による移住者・関係人口の拡大、森林林業に携わる人材増加などを目的とした取り組み。
 3者は同年、「育苗プロジェクトに関する連携協定」を締結しており、連携した森林づくりや活動を通じた人材交流の活性化を図っている。
 プロジェクトでは、町民や森づくりに関心のある企業が町内の森林で広葉樹を中心とした種を採取し、イコウェルすみた(世田米)の敷地内に整備した育苗施設で管理。育てた苗は森林組合に植樹用として販売し、町内で植えてもらう。
 さらに、販売による収益をプロジェクト運営費等に充てることで、地域内での経済循環につなげる。プロジェクト開始以降、これまでに多くの苗木が地域内の森に植えられてきた。
 今回のワーケーションでは、同プロジェクトを企業や個人に向けた研修などの「体験プログラム」として提供していくことを目指し、モアトゥリーズや邑サポートなど関係者が現地での活動を通して意見交換を行い、コンテンツ化を図る。
 9日はモアトゥリーズのメンバー3人、邑サポートの奈良代表理事に加え、プロジェクトに参画している㈱メンバーズ(東京都)の社員らが、一般県道上有住日頃市線(通称・六郎峠)沿いの森林でクリやカマツカ、シナノキといった広葉樹の種を採取し、イコウェルすみたで種類の選別を行った。10日も町内で種を採取し、種植えも体験。その後、イコウェルすみたでプログラムの充実に向けた意見交換を行う。
 モアトゥリーズの遠藤智史さん(36)は「港区の他の企業さんにもプロジェクトをPRしたいと考えている。活動に参加してくれる方が増えていけば」と話していた。