産業等被害額42億6674万円に 大規模林野火災 森林分野でさらに増大見通し
令和7年10月10日付 1面

大船渡市大規模林野火災における産業などの被害額が、今月7日時点で42億6674万円に上ることが分かった。林業関係は林地荒廃被害を加えたことで増えたが、全体の森林被害は依然として調査中で、総額はさらに増す見通し。被災建物の公費解体は、対象の約3割に当たる68棟で終え、完了した地域も出てきている。(佐藤 壮)

広大な延焼範囲となった森林被害額は現在調査が進む
被害額は、9日の定例記者会見で当局が明らかにした。9月時点では29億5308万円だったが、林地荒廃10カ所分の被害11億4726万円が追加され、公共土木施設の道路や急傾斜地崩壊防止施設、ダム設備焼損の計1億6500万円なども計上された。
分野別の内訳は別掲の通り。林業関係のうち、林地荒廃は樹冠部を含め木の燃え方が激しく森林機能が失われ、保水力低下が見られる状態の保安林や治山事業を必要とする区域など10カ所で確認した。
火災にあった全ての森林被害額は「調査中」としている。県が10月中をめどに取りまとめを進めており、11月の開催が見込まれる3回目の市林地再生協議会の場で示したい考え。
大規模林野火災の被災森林は、2月19日に田浜地域発生した火災分を含め、約3400㌶に及ぶ。このうち、半数の約1700㌶が人工林。所有別では私有林が72%、市有林27%、県有林1%となっている。全体の森林被害額は、すでに算出した林地荒廃分を超える規模となることが見込まれる。
また、商工・観光業関係のうち、直接的な被害は1億4862万円。内訳は、建物・倉庫の焼失や損壊(6事業者)が6080万円、給水管や冷凍庫、給湯器など(同)が7386万円、在庫廃棄等(7事業者)が1396万円となっている。
間接被害は3億8295万円。市施設を含む宿泊・宴会の予約キャンセル等は29事業者で5911万円、避難指示期間中の売り上げ減少は101事業者で3億2384万円となった。
被災した赤崎町と三陸町綾里の各地域で進めている建物の公費解体は、9月末現在で221棟の申請があり、6割超に当たる141棟で着手した。8月1日から赤崎町の永浜・山口工業用地内に災害廃棄物の搬入を始め、分別後に、県内6カ所の処分先に搬送。コンクリートがらや、アスベストを含む廃棄物については、被災現場から直接処分先に運んでいる。
先月22日からは、公費解体の作業班を6班体制から7班体制に増やした。現在は68棟で終了し、漁業用の倉庫を設けるといった動きも出ているという。地域別では、赤崎町の合足地域ですべての建物で所有者の最終立ち合いまで進んだ。全体の終了目標時期は12月末としている。
市道沿いの被災木伐採は6路線の約40㌔が対象。11月からの実施に向け準備を進めている。
市は激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業を、被災した人工林約1700㌶のうち2分の1超の面積で優先的に進める方針。先月中旬、事業の活用対象の個人・団体に対し、意向確認の書類を送った。締め切りは17日(金)としているが、返信が来たのは今月8日段階で3割程度。現段階では、回答期限の延長は考えていないという。