販売金額累計968万円 2月に発売の森林クレジット 9月末実績 林業振興協議会で委員確認

▲ 6年度の実績などが示された協議会

 陸前高田市林業振興協議会(会長・菅野賀一市森林組合組合長、委員14人)は9日、市役所で開かれ、令和6年度の林業施策の実績が示された。市が2月に販売を始めた市有林J─クレジットの9月末時点の販売累計状況も報告され、販売量は累計651㌧で、金額は968万円となっている。
 委員11人が出席。佐々木拓市長は「森林クレジットや企業の森制度など新たな取り組みも進めている。貴重な森林資源を次世代に引き継ぐことができるよう皆さんと今後の方向性を検討したい」とあいさつした。
 6年度は森林クレジット検証業務、分収林契約意向確認業務、市有林・林道管理、有害鳥獣捕獲など10事業(実績額2億751万円)を実施した。
 有害鳥獣捕獲数はニホンジカ1137頭、ハクビシンなど小動物378頭、イノシシ22頭。矢作町生出地区の市交流促進センター「ホロタイの郷炭の家」の利用者は1095人、宿泊者は78人だった。市有林の再造林は8・1㌶で行った。
 国から市への6年度森林環境譲与税譲与額は4826万円。このうち、3529万円を林業施策に活用し、残りの1296万円を基金に積み立てた。基金残高は2694万円。
 J─クレジットは、森林の適切な管理を行うことで生じる二酸化炭素(CO2)吸収量をクレジットとして国が認証する制度。市は気仙町内における市有林約560㌶のCO2吸収量年間約3000㌧についてクレジット認証を受け、1㌧当たり1万5000円(税込み)で販売している。
 6年度は発売後の2カ月間で3社に計150㌧分、225万円を販売。7年度は9月末現在、6社が購入し、販売量・金額は501㌧、751万円だった。
 市は同クレジットとの両輪の林業振興策として、6年度に「企業等による森づくり制度(企業の森制度)」を創設。民間企業などが市から提供された市有林で森林保全活動を展開できるもので、9月末時点で7企業、1学校法人が参加している。
 意見交換では本年度実施している航空レーザー測量、森林解析に関し、委員から「測量したデータをどのように活用するのか」と質問が聞かれ、市事務局は「森林組合が日々の業務で活用できるような運用を行っている。計画的で効率的な森林施業が組合でも可能になり、木材生産に適した場所の見える化などといった活用が考えられる」と答えた。