10年ぶりの祭り絵巻 矢作の天照御祖神社 五年式年大祭を挙行

▲ 矢作小での余興奉納で下矢作地区3・4区「下組」が傘踊りを披露

 陸前高田市矢作町字神明前に鎮座する天照御祖神社(佐々木美津子宮司)の五年式年大祭(村上隆一郎祭典委員長)は13日、同神社などで挙行され、町民らによる余興奉納などで10年ぶりの祭り絵巻が広がった。
 同神社は、正和5(1316)年に地域繁栄を願い勧請され、5年に1度、地域の安寧や五穀豊穣を祈る式年大祭を開催。直近では令和2年に開く予定だったが、新型コロナウイルス禍の影響で中止を余儀なくされた。
 本来の周期で10年ぶりに大祭が挙行されることとなった今年。当初は12日開催の予定だったが、あいにくの雨で順延。
 13日は曇り空に覆われたが雨はやみ、神事が始まる午前7時ごろには、境内に同神社の総代や町民ら約100人が参集。本殿で神事を執り行い、佐々木宮司や奉賛会長の村上祭典委員長、佐々木拓市長らが玉串を祭壇にささげた。
 御霊を神輿に移したあとは、渡御行列を展開。東日本大震災で津波被害を受けた嶋部地区の公民館のほか、矢作小学校、矢作と生出の両地区コミュニティセンターの御旅所4カ所をバスも使って移動し、それぞれで祭典を行った。
 このうち、矢作小での祭典では、祝詞を奏上した佐々木宮司が「みんなが力を合わせ、ようやく開催できた5年祭。先人の皆さまにも感謝し、空の上から見守ってもらいたい。矢作のみんなが心を一つにして、元気に生活できることをお願いしたい」と思いも語った。
 引き続き、祭壇の前で余興を奉納。町民ら多数が来場した中、生出神楽や大黒舞、地元保育園児による踊り、下矢作地区3・4区「下組」の虎舞と傘踊り、同5区の虎舞、同市への移住者や大学生らも輪に入っての三ノ戸剣舞、下矢作灯篭七夕の太鼓演奏が繰り広げられた。
 10年ぶりの余興奉納に臨んだ町民らは、震災前の記憶を掘り起こし、新規の参加者や子どもたちにも伝えながら練習に励んできた。少子高齢化や人口減少といった地域課題と向き合い、町民同士で手を取り合い、余興を成功させた。
 〝トリ〟を務めた太鼓演奏では、地元の小学生たちもバチを握り、力強い和太鼓の音やかけ声を響かせた。
 小林飛我さん(矢作小6年)は「太鼓はうまくたたけた。こういう行事がこれからも続いていってほしい」、佐々木真友さん(同)は「祭りの日に限らず、普段から地域の人たちが毎日を笑顔で過ごせるようになれば」と願った。
 村上祭典委員長は「式年大祭は、下矢作と二又、生出の人がみんな集まる貴重な場。延期しながらも無事に開催することができて本当に良かった」と話し、地域が活気づくよう願っていた。