「神の使い」か── 世田米に白いシカ出没

▲ 世田米の山林で撮影された白いシカ(町民提供)

 「神の使い」か──。住田町世田米地内で、「白いシカ」が目撃されている。秋が深まり色づき始めた山林にたたずむ真っ白な姿。アルビノか白変種の個体とみられ、発見した町民も「何かいいことがありそう」と、神々しい姿をあがめた。
 アルビノは、生まれつきメラニン色素が不足している先天性の遺伝性疾患。血管が透けているため、目も赤く見える。
 一方の白変種は、突然変異により毛や皮膚が白色になったものだが、体内の色素は正常につくられているため、目は赤くはならないという。
 今月12日、町内在住の男性が車を走らせていると、道路脇の山林にひときわ目立つ姿を発見。「最初はヤギかと思ったけど、ひげも生えていないし、シカの模様がうっすらと確認できた。そこまで大きくなかったかな。近づいてカメラを向けても全然逃げなかった」と当時の様子を振り返る。町内では、親と思われるシカと3頭で並んでいるのを目撃した住民もいるという。
 撮影された写真では目や鼻が赤みを帯びているように見え、陸前高田市立博物館の浅川崇典学芸員によると「写真だけでは断定できないが、アルビノの可能性が高い」という。
 白い個体自体が珍しいことに加え、姿が目立つため外敵に襲われやすく生存率が低くなり、人が目にする機会はほとんどない。
 奈良県の春日大社の社伝には、鹿島神宮(茨城県)から神様が白いシカに乗って奈良にやってきたとも記載されている。撮影した町民は「縁起がいいね」と、森にすむ〝神の使い〟が、地域に幸せを運んでくれることを願う。