初タッグでアジア王者に 大船渡市末崎町出身・寺澤選手 トライアスロンパラ選手権 山田選手(東京)のガイドで出場 千葉で

▲ 1位でゴールテープを切り、山田選手㊧とともに笑顔を見せる寺澤選手

 千葉県千葉市・稲毛海浜公園のアジアトライアスロン公認コースで開かれた「アジアトライアスロンパラ選手権・パラカップ」のPTVⅠ男子で、大船渡市末崎町出身のプロトライアスリート・寺澤光介選手(31)=SUNNY FISH所属、東京都=がガイドを務めた山田陽介選手(28)=東京都トライアスロン連合=が優勝した。今大会で初タッグを組み、少ない時間の中で細かな調整を重ね、頂点に立った。12月に個人のレースを控える寺澤選手は「自分のレースへのいい刺激になった」と語り、次なる目標に照準を合わせ、トレーニングに励む。(菅野弘大)

 

 国内外の大会で活躍する寺澤選手。昨年は、パリパラリンピック日本代表・米岡聡選手(40)=三井住友海上=のガイドを務めるなど、個人のレース以外にも活動の幅を広げる。
 今大会には、山田選手からオファーを受け、ガイドとしての出場が決定。「(山田選手とは)米岡選手と組んでいた時から、ナショナルチームの合宿で一緒にバイクやランの練習をしていた」と語り、大会の前々日から練習を行い、息を合わせた。「これまで組んできた選手との違いを聞いたうえで、合わせることを心がけた。『もっとこうしたらいい』と自分の意見も伝えつつ、2人でレースをつくり上げる意識を持って臨んだ」と振り返る。
 大会は、スイム750㍍、バイク20㌔、ラン5㌔のスプリントディスタンス(25・75㌔)で実施。同公園内、周辺を周回するコースが設置され、弱視の山田選手は、PTVⅠ男子のB2クラスにエントリーした。
 PTVⅠ男子(B1~3)には、山田・寺澤組を含めた日本選手3ペアと、キルギスの2ペアの計5ペアが出場。障害の程度によって時差スタートとなり、B1のキルギス2ペアがスタートを切った2分51秒後に、B2、3の日本3ペアがスタートした。
 スイムの理想は「一番最初に上がること」だったが、山田・寺澤組は5ペア中4位で終え、トランジションで日本ペアを抜いて3位でバイクパートへ。2人乗りのタンデムバイクは「唯一、ガイドが引っ張っていけるパート」と、寺澤選手もプロ選手としての力を存分に発揮し、キルギスの2ペアを追い抜き、トップに躍り出た。
 最後のランでは、後続に1分10秒の差をつけてスタート。若干差を縮められたものの、ゴールまでしっかり走りきり、2位と50秒差でフィニッシュした。トップでゴールテープを切った2人はその場で抱き合い、お互いの頑張りをねぎらいながら、アジア王者の喜びをかみしめた。
 「優勝を狙える」と大会前に話していた寺澤選手。「スイムで遅れ、理想の展開ではなかったが、バイクで攻めることができた。山田選手を勝たせたい思いもあり、アジアの王者として表彰台に上がれたうれしさがある」と語り、「これを自信につなげて、どんどんランクアップしていってほしい。依頼があって、タイミングが合えば、これからもガイドとして協力していきたい」と意欲を見せる。
 一方で「バイクの実力がまだまだ足りないと感じた」と課題も口にした。12月には、個人のレースでアイアンマン・バッセルトン(西オーストラリア)への出場が決まっており、「世界選手権の権利を取ることが目標。自分の力が通用するか、この一年でどれだけ強くなったかを確かめる集大成のレースにしたい」と、ガイド活動の経験を糧に、さらに高みを目指す。