大船渡の教訓踏まえ連携 火災防御訓練 強風下での山林火災発生想定(別写真あり)

▲ 世田米商店街から住田中につながる坂道などでホースをつなぐ団員

秋季消防演習では分列行進などを展開

 住田町の火災防御訓練は19日、世田米地区内で行われた。本年度は大船渡市大規模林野火災を踏まえ、強風下での山林火災発生を想定。中心部の水利から消防車やポンプにホースをつなぎ山林部に放水する流れを確認し、迅速な対応と連携の重要性を胸に刻んだ。
 火災防御訓練は毎年実施しているが、今年は同市大規模林野火災の教訓を踏まえた内容とした。当日は「県内沿岸南部に乾燥注意報、強風注意報が発表される中、世田米の住田中学校近くの山林で火災が発生し、強風にあおられて延焼拡大の危険性が高まっている」との想定で展開した。
 消防団員ら104人が参加。1~3分団は長距離延長中継による火点への放水、4~6分団は飛び火警戒・延焼防止にあたった。
 午前7時の開始とともに、消防団車両などのサイレン音が響き渡った。世田米駅地内の水槽から住田中学校そばの山林までの約600㍍にわたり、消防団員が機敏な動きで消防車やポンプを経由させながらホースをつないだ。開始約20分後には高低差30~40㍍の同校体育館脇の山林に向け、放水のアーチが描かれた。
 大規模林野火災では、山間部で水利が限られる状況下でホースをつないで長距離送水するなどの対応が取られた。訓練では、長時間の放水による防火水槽内の水不足を想定し、近隣から補水する流れも確認。まち家世田米駅付近に設けられた指揮本部では、デジタル無線を生かし、火点の位置や延焼状況など各地からの情報把握も行われた。
 統監を務めた神田謙一町長は「例年以上に緊迫感のある訓練となった。危機感の高さを感じ取った」と、団員らの動きを評価した。
 大船渡地区消防組合の鈴木将消防長は「技術継承はもちろん、火災の教訓を踏まえれば、情報を迅速に共有し、いかに早く判断して応援要請ができるかも重要」、大船渡市消防団の大田昌広団長は「住田町消防団は訓練の数をこなし、上り勾配で水を送る苦労もよく分かっている。頼もしさを感じる」と話した。
 訓練後は、世田米地区で秋季消防演習を実施。団員や住田分署職員、女性消防協力隊員ら154人が参加し、世田米商店街から世田米小学校までのルートで分列行進を展開。冬場にかけての火災予防を誓った。