漁業燃油購入費に補助 3年ぶり独自負担軽減策 実績9区分で2~150万円
令和7年10月22日付 1面

大船渡市は、燃油価格高騰などで経営コストが増大している漁業者の負担軽減に向け、年間燃油購入量に応じた補助金制度を設けた。コロナ禍対策として実施した令和4年度以来3年ぶりとなる独自助成で、今回は大型船の利用実績などを考慮し、支援金額の上限を150万円に引き上げたほか、購入量実績を細分化した。申請期間は来月4日(火)~来年2月13日(金)。各所属漁協で受け付け、市は来月以降順次送金を進める。(佐藤 壮)
市水産課によると、漁業で使用する燃油の価格は、コロナ禍前の令和元年と比較して1㍑当たり26円前後上昇し、高止まりが続く。資材価格も上昇している半面、本年度における市魚市場への水揚量と金額はいずれも前年度実績を下回るなど、経営環境は厳しさを増している。
こうした中で市は、9月補正で一般会計に水産業持続化支援事業2741万円を盛り込んだ。財源を生かし、漁業者向け漁業用燃油の購入費支援を進める。
今回の補助対象者は、市内で漁業を営む個人・法人などで、令和5年または6年収入の過半が漁業収入であることが条件。漁協や漁船漁業、定置漁業者、養殖漁業など、220経営体程度を想定している。
さらに、今後も漁業を営み、補助金受給後も漁業を継続する意思があることや▽物価高騰対策の目的で、市が実施する他の補助金を申請・受給していない▽市税滞納がない▽昨年分の燃油購入量が500㍑以上で、その証明ができる──となれば対象になるが、ウニやアワビ漁など採介藻漁業のみを営んでいる場合は受給できない。

養殖漁業などで使われる漁船燃油購入費を支援へ(21日、大船渡湾内)
補助対象となる燃油は、令和5年(1~12月)か同6年(同)のいずれかに購入したA重油、軽油、ガソリンなどで、多い年を選択できる。いずれかの年で急潮などの影響で操業が少なかった経営体もあることから、選択できるように配慮した。
サンマ船や複数の定置網を所有する経営体では、多くの燃油を使用する状況も考慮。令和4年時の助成上限は50万円だったが、今回は150万円に引き上げた。さらに、より実情に合わせた支援に向け、購入量区分も5段階から9段階に細分化した。
申請は、所属する漁業組合で受け付ける。申請書兼請求書や事業実績書、領収書など購入履歴が分かる書類、確定申告書(控え)の写し一式などが必要となる。市は申請に応じて確認を進め、来月以降順次送金する。
鈴木宏延水産課長は「漁獲量の減少や大規模林野火災の影響もある中で、燃油価格などの高騰で経営コストが増加し、漁業者を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いている。支援金交付を通じて、漁業経営の安定の一助になれば」と話している。
制度に関する問い合わせは同課漁政係(℡27・3111内線373)へ。補助対象や補助金額は別掲。