開館5カ月で1万人到達 震災復旧の旧吉田家住宅来館者
令和7年10月23日付 7面
陸前高田市気仙町今泉地区の県指定有形文化財「旧吉田家住宅主屋」の来館者数は22日、累計1万人に達した。東日本大震災で全壊し、被災部材を活用した復旧事業を経て、今年5月によみがえった歴史的建造物。年間目標の来館者1万人を開館5カ月で達成し、関係者が節目を祝った。(高橋 信)
1万人目の来館者は、修学旅行の一環で同市を訪れた県外の高校生4人と、民泊体験で生徒たちを受け入れた米崎町の菅原知巳さん(73)、幸子さん(66)夫妻。
市のPRキャラクター「たかたのゆめちゃん」が駆けつけ、生徒たちを祝福。正門の前で手のひらサイズのミニくす玉を開披し、その後、生徒たちは主屋で干し柿作りを体験した。
菅原(知)さんは「ちょうど1万人目となり、縁起がいい。主屋は歴史が感じられる建物で、被災した材料を使って復旧した。これからも民泊で受け入れた修学旅行生などを案内し、この主屋の歴史を知ってもらいたい」と話した。
吉田家住宅は江戸時代に仙台藩気仙郡を統治した地方役人の最上位職「大肝入」を世襲した吉田家の執務所で、享和2(1802)年に建てられた。
震災で全壊し、県立博物館学芸員や大学関係者、吉田家の現当主らが被災部材の回収に尽力。気仙大工左官の技で復旧を果たし、5月に一般公開が始まった。7月には宮城、岩手両県7市町の産金史を伝える文化庁の日本遺産「みちのくGOLD浪漫」の構成文化財に加わった。
主屋の松村仁館長は「津波被害から見事によみがえった建物。これからも多くの人に気にかけていただき、足を運んでいただけるとありがたい」と願いを込めた。
開館時間は午前9時~午後4時。月曜休館。入館料は来年3月末まで無料。以降は大人300円、団体(10人以上)1人200円となる。






