サーモン養殖本格化へ ニッスイ 2年間の試験終了 31日に会見開き計画説明
令和7年10月23日付 1面
水産大手の㈱ニッスイ(田中輝代表取締役社長執行役員、本社・東京都)は、陸前高田市広田町の広田漁港でサーモン養殖事業に乗り出す。令和5年から同市の広田湾漁協(砂田光保組合長)との共同で試験養殖し、今月1日付で区画漁業権の免許を取得したことから養殖事業を本格化させる。事業を後押ししてきた市と同社は31日(金)、市役所で事業に関する合同の記者会見を開く。
合同記者会見にはニッスイの漁業養殖推進部長らが臨む予定。養殖事業の今後の計画などについて説明する。
ニッスイは、国内でブリやギンザケ、クロマグロ、カンパチ、海外でサーモン類などの養殖事業を展開している。
陸前高田市での試験養殖は、5年11月に開始。広田漁港の湾内と沖合の2カ所にいけすを1基ずつ設置し、サーモンを育てながら周辺の海洋環境や他の漁業活動への影響がないか調査してきた。
試験1季目はギンザケを養殖し、昨年6月5日~28日に水揚げ。数量は約178㌧だった。
2季目の今年は、新たにトラウトサーモンを加え、5月中旬〜7月上旬に水揚げを行った。数量はギンザケ約139㌧、トラウトサーモン約83㌧だった。
本県では近年、主力魚種の記録的な不漁に見舞われている。秋サケは特に深刻で、県まとめの本年度回帰予報(9月~令和8年2月)によると、秋サケの回帰数量は3万3000匹、93㌧で、過去最低を更新した令和6年度実績の4万3000匹、117㌧を2割程度下回る見込み。東日本大震災前の平均値(平成20~22年度)の768万匹、2万5053㌧と比べると、1%にも満たない低水準となっている。
この打開策として、沿岸各地ではサーモン養殖の動きが広がっている。ニッスイは今月、大船渡市の越喜来漁協との共同で三陸町越喜来で試験養殖に着手すると発表し、気仙では広田湾漁協に続いて2カ所目となる。
佐々木拓市長は「2年足らずで正式な漁業の免許が交付されたことは非常に画期的なこと。隣の大船渡市にも波及し、当市だけでなく、気仙地域全体にとっても非常に素晴らしいことだと思う」と話した。






