大船渡が初出場Vの快挙 科学の甲子園県大会 来年3月の全国大会出場へ
令和7年10月26日付 6面
高校生の理科、数学、情報などにおける複数分野の技術や知識、実技を競う「科学の甲子園県大会」(県教委主催)はこのほど、花巻市の県立総合教育センターで開かれ、大船渡が初出場で初優勝の快挙を達成した。1、2年生から招集された理数系の精鋭8人が、筆記や各種実技の試験で日頃の学習成果やチームワークを発揮。メンバーは「優勝するとは夢にも思わなかった」と結果に驚きつつ、全国大会に向けてさらなる知識向上を誓っている。
県大会には、9校の1、2年生65人が出場。1校6~8人でチームを組み、筆記試験と総合、物理各実技試験の合計得点で順位を競った。
大船渡は、物理担当の細川純平教諭の呼びかけで、7月下旬頃に出場メンバー8人が決定。大会に向けては、筆記試験に向けた模擬問題を解いたり、放課後に集まって総合実技の課題に対応する作品制作に取り組んできた。
このうち、総合実技では、制限時間内に片手で操作できるマジックハンドを制作し、カプセルを9マスの決められた位置に移動させる技術を競った。大船渡は、事前に試作していた二つの注射器をチューブでつなぎ、空気圧を利用してものをつかむ作品を作り上げ、実際に動きを披露した。
披露は3人一組で実践。カプセルの配置が書かれた指示書は1人しか見ることができないルールのため、3人が手をつなぎ、事前に決めた手の動きのみで操作者に配置を伝達した。
合図は女子メンバー3人が考案。大和田莉奈さん(2年)は「どれだけ簡単な動きで、時間をかけずに伝えられるかを意識した」と振り返り、指示書を見る役を担った近江仁輝さん(1年)は「間違えてはいけない緊張の中、役割を果たすことができた」と充実感をにじませた。
「安定性を重視した」という作品は、しっかりとカプセルをつかみ、指示書通り完璧な配置で一発成功。マジックハンドを操作した佐藤惇さん(2年)は「ほかの学校が失敗しているところを見て緊張したが、作品の仕組みや手で伝達する際の合図を決めてくれたメンバーの期待に応えたいと思った。成功してほっとした」と笑顔を見せ、「初めて話したメンバーもいたが、短い時間で一致団結して、一体感を持って臨めた。全員が活躍してつかんだ優勝だ」と胸を張った。
物理実技も、知識やその応用が試される問題で、担当した伊東里咲子さん(同)は「面白そうな問題で、うまくいかない部分もあったが、メンバーで役割を分担して、自分たちなりに答えを求めることができた」と手応えを語る。
この結果、総合実技は見事に1位を獲得。筆記も3位と大きく加点し、盛岡三、盛岡一などの有力校を抑えて初優勝を飾った。
細川教諭は「困った時に相談して、コミュニケーションを取れる子たちだから優勝できたのでは」と、生徒たちの頑張りをたたえた。
大船渡は、来年3月20日(金)から4日間、茨城県つくば市で開かれる全国大会に出場する。佐々木天馬さん(同)は「県大会で、大会の雰囲気などを感じることができた。〝全国優勝〟を目指して、もっと勉強して知識を深めたい」と意気込む。
※県立大船渡高校▽教諭=細川純平▽生徒=細谷優太郎、佐藤惇、佐々木天馬、伊東里咲子、大和田莉奈、後藤美咲(以上、2年)小西勝之、近江仁輝(以上、1年)






