下矢作灯篭七夕継承の願い込め イメージソング制作 二胡奏者・真真さん(千葉) 市産業まつりで披露

▲ 26日の市産業まつりで『君の夢伝えて』を歌った真真さん㊥

 東日本大震災後、陸前高田市矢作町下矢作地区の住民と交流を続ける二胡奏者・真真=本名・関浩恵(千葉県流山市)=さん(60)が今夏、同地区の下矢作灯篭七夕祭りのイメージソング『君の夢伝えて』を制作した。26日の市産業まつりで市民らの前で披露し、多世代が参加する七夕祭りの継承を願う応援歌を笑顔で歌った。 (高橋 信)

 降雨に見舞われた26日の産業まつり。ステージイベントに出演した真真さんは、しとしと雨と調和した二胡の情感あふれる音色を奏で、観客を魅了した。
 中盤には灯篭七夕祭りを運営する七夕伝承会(藤倉泰治会長)の三浦真一さん(59)、阿部清喜さん(56)も登壇。真真さんのバックで二胡の演奏に合わせて太鼓をたたいた。
 毎年8月上旬に開かれる下矢作地区の震災追悼行事「迎え火」のために、真真さんが作成した『迎え火8・8』も披露。「下矢作灯篭七夕」と背中に書かれた法被姿の祭り関係者が最前列で見守る中、最後に『君の夢伝えて』を歌った。
 「久しぶりだね/元気だったかい?」「時はめぐって今年も来たね/君に会えるいのちの季節」──。アップテンポの曲の歌詞では年に1度の祭りで心を通わせる住民らの絆などを表現した。「子どもたちに親しんでもらう曲に」との思いを込め、間奏にはラップパートを入れた。
 震災翌年の平成24年2月、陸前高田市での慰問活動を始めた真真さん。滞在拠点とした下矢作地区の旅館の経営者が迎え火行事に携わっていた縁から、同行事でも演奏するようになり、支援活動で知り合った音楽家と『迎え火8・8』を作った。
 被災地での活動が決め手となり、それまで趣味としていた音楽活動を本格化させようと、24年度末に本業の高校教諭を退職。迎え火行事にはほぼ毎年駆けつけ、27年に半世紀ぶりに復活した灯篭七夕祭りにも参加した。
 地区住民とも親密になり、「灯篭七夕の歌も作って」とリクエストをもらった。数年かけていくつかの曲を試作したが、満足のいくものが出来上がらない中、祭りの担い手に地元の子どもたちや女性らが年々加わる光景を見て、「七夕を通じて地域が発展していくような曲を」との着想を得た。ようやく完成し、今年8月の迎え火行事で地元住民に披露したあとCDリリースした。
 来年3月で震災発生から15年。真真さんは「支援がきっかけだが、今では交流がメイン。訪れるたびに下矢作の方から『おかえり』と言っていただき、毎回元気をもらっている。たくさんの人に曲を聴いてほしい」と願う。