自然と共生する重要性説く キュー王立植物園(英国)画家の山中さん 公園財団主催 講演会と植物画描く教室
令和7年11月2日付 8面
植物研究のため精密な植物の絵を実物大で描く「ボタニカルアート(植物画)」について知ってもらおうと、世界で5人しかいない英国キュー王立植物園公認画家の山中麻須美さん=奈良市出身=による同アートの体験教室と講演会が1日、陸前高田市高田町の市立博物館で開かれた。山中さんは東日本大震災後、奇跡の一本松の水彩画を描いた縁があり、今回は「陸前高田で地元の人たちに向けた教室を」という本人の強い思いを端緒に実現。講演では作品に込めた思いとともに、自然と共生する重要性などを伝えた。(高橋 信)

ボタニカルアートの体験教室も開かれた
山中さんは平成14年から植物画を描き始め、21年に同植物園の公認植物画家となった。園内のギャラリーで個展や展示会の企画、講演会、日英友好のイベントに関わる。一本松の水彩画は28年に描き、高田松原津波復興祈念公園内の国営追悼・祈念施設に展示されている。
体験教室と講演会は、一般財団法人公園財団が主催。「地域にアートで貢献したい」という山中さんの思いに応え、市立博物館、市観光物産協会などの協力のもと企画された。
講演会は約50人が聴講。山中さんは同植物園の歴史や貴重なボタニカルアートのコレクションを映像を交えながら紹介した。
山中さんは科学と芸術の両方を兼ね備えるボタニカルアートについて、「今後の課題として私たちの仕事をどのように次世代へと継承するかが問われている」と言及。「このエリアにしかない植物の固有種もたくさんあり、50年後、100年後にはなくなるかもしれない。今、地域にある身近な自生植物をどう残し、つないでいくか考えてほしい」と呼びかけた。
一本松の水彩画を巡っては、「東北、熊本、能登と、日本は自然災害が多い国。ただ自然と闘うのではなく、自然とどう向き合うのかということが一本松からのメッセージだと思う。自然と共生するということや自然を保全するということを、この絵を通じて伝えたい」と語った。
体験教室には、気仙地区を中心とした約20人が参加。イチョウやモミジの葉を題材に、ボタニカルアートに挑戦した。
大船渡市大船渡町の伊藤元司さん(90)は「鉛筆画をやっており、植物画に大変興味があった。とても勉強になることを聞けたし、体験教室も素晴らしかった。ありがたい機会をいただいた」と関心を寄せた。
公園財団の川原淳企画部長は「講演と教室を無料で開催できたのは、山中さんの『ボランティアとして力になりたい』という思いがあったから。大変著名なアーティストと地元の方々が交流する場となり良かったし、この機会を通じてボタニカルアートの裾野が広がればうれしい」と話した。






