存続を求め署名提出 再編対象の大船渡東高・食物文化科 護る会が県知事と教育長へ 1万4719筆集まる
令和7年11月6日付 1面
大船渡市内の各種団体や市民有志からなる「大船渡東高校・食物文化科をみんなで護る会」(代表・米谷春夫大船渡商工会議所会頭)は5日、達増拓也知事と県教育委員会の佐藤一男教育長宛てに同科の存続を求める署名1万4719筆を提出した。署名は先月から約1カ月をかけ、気仙を中心に協力を求めて集めたもので、佐藤教育長とは懇談も行い、民間の立場から同科の存続を要望した。
大船渡東の食物文化科(定員40人)は、県教委が8月に公表した第3期県立高校再編計画の当初案において、令和10年度で募集停止とする方向性が示された。同科の調理師養成施設は宮古水産に集約し、家庭科の学びは大船渡東・農芸科学科でコース等として維持するとしている。
この提案に対し、保護者や卒業生、地元の産業界などからは「同科が地域社会を担う人材育成や食文化、産業に大きく貢献している」といった理由から、反対の声が上がった。こうした存続を求める地域の声を県や県教委に届けようと、9月に大船渡商工会議所をはじめとする21団体が賛同して「護る会」が立ち上がり、10月には署名活動が始まった。
各賛同団体を通じて存続を求める声を集めたほか、同市産業まつりといったイベント会場でも協力を呼びかけた。活動は気仙各地に広がったほか、首都圏さんりく大船渡人会などを通じて首都圏の県内出身者らからも署名が寄せられた。
護る会ではこの署名を手に、5日に盛岡市の県庁を訪問。佐藤教育長への提出には米谷代表、鈴木昭司、木下彰両副代表が臨み、千葉盛県議、大船渡市の小松伸也教育長、同市議会教育福祉常任委員会の滝田松男委員長、護る会事務局の佐藤優子、宮﨑和貴両市議が同席した。
米谷代表から佐藤教育長に署名が手渡され、その後の懇談は非公開で行われた。
終了後、報道陣の取材に応じた米谷代表は「短期間でよく1万4000筆を超える署名が集まったと驚いている。(存続を求める)市民や東高に理解を示す方々が予想していた以上に多かった」と話し、県内外からの署名への協力に感謝。佐藤教育長からは「署名の数を受けて、丁寧に検討を進めていく」との回答があったとした。鈴木、木下両副代表は「卒業生や生徒たちが地域に貢献してきた表れ」と話し、署名への協力に感謝するとともに、人々の存続を求める声が今後の計画に反映されるよう期待を込めた。
護る会では、28日(金)まで署名活動を継続。集まった署名は今回と同様、達増知事と佐藤教育長に提出する。
県教委は、今月中旬に第3期計画の修正案を公表する予定。大船渡東・食物文化科と、同科と同様に10年度の募集停止案が示されている高田・海洋システム科(定員40人)については、気仙を含む沿岸南部5市町が先月21日、県教委に両科の存続などを要望しており、こうした動きが修正案に反映されるのかが注視される。






