利便性向上へ実証開始 コミュバス再編とデマンド交通 来年4月からの本格運行目指す

▲ 住田町でコミュニティバス再編とデマンド交通の実証がスタートした

 住田町は4日から、コミュニティバスの再編とデマンド交通(予約型乗合交通)の実証を開始した。本年度から令和11年度を期間とする町地域公共交通計画に基づいたもので、来年3月末まで利用者数や利便性の実証を行う。人口減少によって公共交通の利用者が減少する一方、高齢化の進行に伴って生活の〝足〟の確保が求められている中、実証でデマンド交通の利用者数などを把握し、住民の意見も踏まえたうえで令和8年4月からの本格運行開始を目指す。(清水辰彦)


 同町内では、鉄路はJR釜石線の上有住駅があるのみで、主な公共交通は路線バスが担っている。路線バスは町内と大船渡市や陸前高田市、遠野市を結ぶように運行しているが、かつて民間のバス事業者が運行してきた路線では平成16年以降廃止が相次ぎ、現在は町がコミュニティバスを運行している。
 人口減少や少子化、高齢化が進み、公共交通の利用者が年々減る一方、町の負担は増えつつある状況。高齢者の自動車事故も社会問題化しており、免許返納後も安心して暮らせるまちを実現する公共交通ネットワークの再構築が求められている。
 こうした状況を踏まえ、町では人口減や少子高齢化に対応した持続可能な交通形態の実現を目指して地域公共交通計画を策定。計画では▽コミュニティバスを再編しデマンド交通を導入▽幹線交通の運行を維持し、町内外への移動のしやすさを向上させる▽交通空白地有償運送(公共ライドシェア)の導入促進▽交通交流拠点を整備し、にぎわいも創出する──など八つの事業を定めている。
 計画に基づくコミュニティバスの再編とデマンド交通の実証では、町役場─上有住駅間の「川口上有住線」を「世田米有住線」に、遠野駅─上有住集会センター間の「八日町遠野駅線」を「遠野住田線」にそれぞれ名称変更。「遠野住田線」では、上下計4便のうち、上下各1便の終着点を従来の上有住集会センターから上有住駅までとし、北側に約15㌔延長している。
 「世田米有住線」は、これまで特定曜日に運行していた下有住と上有住の一部地域をデマンド交通とした。これにより、同線の便数は現在の1日上下8便から、上り4便、下り5便に変更。町役場と世田米の大股地区を結ぶ「役場中井線」は廃止し、デマンド交通を導入した。
 デマンド交通は、町内を▽五葉▽有住(下有住、上有住)▽大股▽世田米──の4区域に分けて運行。ルートは利用者の状況によって異なり、乗降場所は、利用者の自宅と町役場、住田郵便局周辺、世田米駅、住田地域診療センター、薬王堂岩手住田店、イーガストすみた。
 運行料金は五葉と有住地域が1乗車400円、大股、世田米地域が同300円。運行日は、五葉が金曜日、有住が月・水曜日、大股と世田米が火・木曜日。土・日曜日、祝日、年末年始は運休。各地域とも、1日当たり上下各3便を運行する。
 実証初日の4日は1組が予約。世田米字中井の自宅と世田米中心部間で利用した遠藤裕也さん(90)は「免許を持っていないので、こうした仕組みがあると助かる」と話していた。
 町住民税務課の鈴木絹子課長は「日常生活の足として、積極的に使っていただきたい。実証を重ねて利便性を高め、公共交通空白地域解消を図りたい」と力を込める。
 デマンド交通に関する問い合わせは同課(℡46・2113)、予約は㈱住田交運(℡46・2130)まで。