大船渡で20㌢の津波観測 9日夕の三陸沖地震 本県沿岸に一時注意報発令 人的被害なし 気象庁「引き続き注意を」
令和7年11月11日付 1面
9日午後5時3分ごろ、三陸沖を震源とする地震が発生し、本県沿岸部に津波注意報が発令された。気象庁によると、気仙では大船渡で同6時25分に最大波で20㌢を観測。注意報発令に伴い、大船渡、陸前高田両市合わせて最大でおよそ90人が避難した。人的、物的被害の報告はなく、注意報は同8時15分に解除された。気象庁は、揺れの強かった地域では今後1週間程度、同規模か、さらに規模の大きな地震が発生する可能性もあるとして注意を呼びかけている。
同庁によると、震源の深さは約16㌔、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・9と推定される。盛岡市や矢巾町、宮城県涌谷町で最大震度4、気仙2市1町は震度2が観測された。同庁は午後5時12分、本県沿岸に津波注意報を発令した。
大船渡では同5時39分に津波の第一波で10㌢を観測し、最大波は同6時25分の20㌢。このほか、久慈港で20㌢、宮古港と釜石港で10㌢を観測するなど各地に津波が到達した。
主な公共交通機関は、三陸鉄道が盛駅─釜石駅間などで、JR大船渡線BRTは全線で、それぞれ一時運転を見合わせた。
注意報は解除となったが、同庁では「今回地震が発生した地域では、過去に同程度の地震が続発した事例もある。今後1週間程度は最大震度4程度の地震に注意する必要がある」としている。
大船渡市
大船渡市は午後5時12分の津波注意報発令を受け、市災害警戒本部を設置。浸水想定区域の2835世帯6138人を対象に避難指示を出した。同7時30分現在で、盛町のリアスホールや大船渡町の大船渡地区公民館、赤崎町の赤崎地区公民館や蛸ノ浦漁村厚生施設など計8施設に59人、車両27人が避難した。
大船渡町内の国道45号では、津波注意報発令を示す電光掲示板に切り替わり、地元消防団車両が走行して警戒にあたったが、渋滞は見られなかった。第一避難場所に指定されている同町の大船渡保育園では、浸水想定区域内に位置するおおふなぽーとで学習していた生徒が避難で訪れたが、目立った混乱はなかったという。
盛町のリアスホールを利用していた川原悠馬さん(大船渡高3年)は「夕方まで勉強のために利用し、これから移動しようと考えていたところだった。自宅は海から離れているが、海岸沿いで働いている家族もおり、また、急なことだったので家族とすぐに連絡がつかず心配」と不安な表情を見せた。
大船渡地区公民館に避難してきた50代男性は「内陸出身で、津波の避難経験は人生で初めて。現在住んでいる場所は、ハザードマップで見ると浸水ギリギリだったので、まず避難してきた。改めて災害を自分事として捉えたし、日頃からの準備が大事だと実感した」と避難行動を振り返った。
三陸町綾里の綾里漁港では、津波注意報発令を受け、漁港内から車で移動する人の姿が目立った。田浜地域の80代男性は「水門が閉まり、漁港内を通るいつものルートで家に帰れない。山の中の迂回路を使えば帰れるが、今度はクマが怖い。どうしたものか」と頭を悩ませた。
綾姫ホールには、数人の住民らが身を寄せ、暖を取りながら地震、津波情報を伝えるニュースを眺めた。宮野地域の70代男性は「ちょっとのことでも、念のため避難した。自分を守れるのは自分だけだ」と気を引き締めていた。
陸前高田市
陸前高田市は注意報発令と同時に市災害警戒本部を設置。防潮堤より海側に位置する区域に避難指示を出した。
市は市内8カ所に指定避難所を開設し、避難者数は最大で2世帯3人。内訳は今泉地区コミュニティセンターに1世帯1人、小友地区コミュニティセンターに1世帯2人だった。
このほか、指定緊急避難場所でもある広田町の県立野外活動センターには、子ども2人を含む1世帯4人が避難。午後7時過ぎには広田地区コミュニティセンターに移った。
同町の40代女性は「震災のときは、津波が家の前まで来た。万が一のことも考えて避難してきた」と話し、不安そうな表情を浮かべていた。
高田町のアバッセたかた専門店街では、注意報の発令を店内放送で周知。専門店街にいた客は自主判断で行動し、午後5時30分までにほとんどが店を出た。各店は通常通り営業を続け、店員らは「嫌な感じの揺れだった。警報に切り替わることはないと思いたいが、閉店時間まで注意したい」と、冷静な対応を心がけていた。






