15日から被災美術品公開 市立博物館 修復、返還された絵画など

▲ 企画展示室で美術品特別公開の準備を行う学芸員

 陸前高田市立博物館(菅野義則館長)は15日(土)から12月14日(日)まで、東日本大震災津波で被災後、修復され同市へ返還された美術品を特別公開する。「甦った絵画たち─陸前高田へ帰郷─」と銘打ち、修復の軌跡や作品の価値を改めて伝える機会とする。
 同市では震災当時、市立博物館、市立図書館、海と貝のミュージアム、埋蔵文化財保管庫の4施設で、数多くの歴史、文化的資料が津波被害を受けた。その後、文化庁からの要請もあって文化財レスキュー活動が始動し、県内外の関係機関の連携により、回収した文化財の修復作業が進められた。
 このうち、美術作品は汚泥やカビの除去作業、脱塩、安定化処理、補修作業などを展開。津波被害を受けた美術品の復旧は世界的に前例がなく困難を極めたが、専門機関でつくる保存・修復家チームの努力が実を結び、展示可能な状態まで修復された。
 作品が本年度末までにすべて同市に返還される見通しが立ち、作品を一時保管してきた盛岡市の県立美術館では、昨年10月から今年4月にかけてコレクション展「救出された絵画たち─陸前高田へ、まもなく帰郷─」を開催。2期に分けて約60点を展示した。
 市立博物館で今回初めて行う特別公開は、修復された美術作品の返還を記念して企画。県立美術館でも展示された作品の中から十数点を企画展示室に並べ、被災や修復の様子についても伝える。
 公開作品は、猪熊弦一郎氏の『猫と頭』(油彩)や白石隆一氏の『椿島』(同)など油彩画、水彩画、版画、工芸品を予定。気仙の芸術文化の礎を築いた本市出身、ゆかりの作家の作品を公開し、高い芸術性や歴史的価値を伝える。
 市立博物館では「返還された美術作品が再び多くの人に愛され、本市で美術への関心がいっそう高まることを願う」と思いをこめ、多くの来場を呼びかける。
 観覧無料。月曜休館。問い合わせは同館(℡54・4224)へ。