「ずっと働きたい」思い強く 活躍広がる特定技能2号取得の外国人労働者 気仙 豊富な業務経験 リーダー的存在に
令和7年11月16日付 7面
外国人労働者の在留資格のうち、熟練技能を要し、事実上無期限で就労できる「特定技能2号」。水産加工を展開する気仙の事業所でも、取得者による活躍が目立ちつつある。大船渡市内に工場を構える鎌田水産グループでは、複数の中国出身女性が取得し、外国人従業員や実習生をまとめながら「ずっと働きたい」と意欲にあふれる。少子高齢化や人口減少で労働力不足が懸念される中、今後の広がりが注目される。(佐藤 壮)
ヨウ・ホウさん オウ・トウマイさん
政府は令和元年、少子高齢化などを背景とした人手不足の解消を図ろうと、短期滞在者、留学生、就労資格外国人などの在留資格に「特定技能外国人」を新たに設けた。
特定技能1号の在留期間は、通算で最長5年。試験などによる日本語能力と技能の確認が必要だが、3年以上の技能実習経験があれば、試験を受けずに移行できる。
特定技能2号は、より熟練した技能を必要とし、一定の実務経験に加え、試験合格が必要。在留期間の上限はなく、家族も帯同できる。一昨年から、水産加工を含む飲食料品製造業の安全衛生確保や各種管理業務でも解禁された。
現在、鎌田水産グループでは、赤崎町の鎌田水産㈱と、大船渡町のかまたフーズ㈱で中国出身の女性各1人が2号資格を取得。いずれも業務経験が豊富で、管理業務や外国人労働者を束ねる役割を任されている。
鎌田水産のオウ・トウマイさん(46)は、平成27年から3年間、研修生として従事。同30年にいったん帰国したがその後に戻り、令和5年には1号を取得していた。
2号取得については「一番の理由は、この会社で働きたいから。働きやすいし、家の近くに畑もあるなど、生活も便利。自分の年齢を考えれば、この先もどこにも行かず、大船渡にずっと住みたい」と語る。
社内では中国だけでなくベトナムやインドネシア、ミャンマー出身の実習生らがいる中で、業務を管理し、まとめる立場を担う。「私の年齢が、自分のお母さんに近い人もいるから」と謙遜するが、「これからもちゃんと教えていきたい」と力を込める。
同社の鎌田仁社長は「2号を取るようになれば、リーダーのような存在。会社としても助かる。長期的な雇用にもつながるので、今後も取りたいという人の意欲に応えたい」と話す。
かまたフーズのヨウ・ホウさん(38)は、平成22年から3年間、鎌田水産で従事。同23年の東日本大震災では同社も甚大な被害を受けた中から業務を再開し、その作業に携わってきただけに「帰りたくなかった」と心境を振り返る。
中国で5年間、かばん製造などの業務を経験。平成30年に大船渡に来ることができ、令和2年からは特定1号として働いてきた。在留期間5年が迫る今年、2号に合格した。
通常の仕事を終えた後に時間を工面し、勉強を重ねた。出題分野の範囲が広く苦労も多かったが「受けたい気持ちを話したら、会社がテキストとかを用意してくれた。『勉強だけでいい』環境をつくってくれた」と感謝を忘れない。
ヨウさんも「ずっと働きたい」という気持ちを持ち続けていただけに、合格を聞いた時は飛び上がるほどうれしかったという。今後に向けては「新鮮な魚を加工し、安心・安全な食品を皆さんに召し上がってほしい。そのための管理を頑張りたい」と意欲を見せる。






