「E評価(進ちょくに大幅な遅れ)」水産業に集中 深刻な不漁 色濃く反映 総合計画推進委 6年度実施状況を確認

▲ まちづくり総合計画に盛り込む各事業の6年度実施状況が示された会合

 陸前高田市総合計画推進委員会(委員30人)は20日、高田町の市コミュニティホールで開かれ、市まちづくり総合計画後期基本計画初年度に当たる令和6年度時点の進ちょく状況が示された。全103項目の成果指標のうち、「A(順調に推移)」「B(おおむね順調に推移)」の評価分類に入ったのは計54項目で、全体の52%だった。「E(進ちょくに大幅な遅れ)」は1次産業分野を中心に19項目(18%)に上り、水産業の深刻な不漁が総合計画の実施状況にも色濃く反映される結果となった。(高橋 信)

 

 委員約20人が出席。市側は佐々木拓市長や石渡史浩副市長、山田市雄教育長、各部課長級職員合わせて約30人が臨んだ。冒頭、役員選任が行われ、前会長の退任に伴い、新会長には菊池満夫氏(市社会福祉協議会)が就いた。
 後期計画には八つの基本目標、33の基本政策を掲げている。各政策の実施状況を把握するために103の成果指標項目を設定しており、項目ごとに計画最終年度(令和10年度)の目標値に対する進ちょく度を5段階評価で分類している。
 6年度は「A」33項目(32%)、「B」21項目(20%)、「C(進ちょくにやや遅れ)」16項目(16%)、「D(進ちょくに遅れ)」14項目(14%)、「E」19項目(18%)だった。
 E評価のうち、水産業分野はサケ、広田湾産イシカゲ貝、アワビ、カキ、ホタテ、ホヤ、ワカメなどの各水揚げ量で9項目に上った。
 気仙川のサケ水揚げ量は、目標1万尾に対して実績が4973尾。広田湾産イシカゲ貝は100㌧の目標に対して16・1㌧にとどまった。
 カキはむき身が41・6㌧で目標の46・2%、殻付きは385万6795粒で目標の64・3%と低調だった。ホヤは53・2㌧で目標の53・2%。ホタテは58・6㌧で、目標の120㌧の半分に満たなかった。
 委員からは「アワビやカキ、ホタテなどの特産品がとりにくくなっている状況のようだ。水温が高くなっている中で漁獲できる特産品などの研究はしているのか」と質問があった。
 石川浩水産課長は「県が高水温に強いアサリの養殖を試験的に始めた。当市でもイシカゲ貝養殖を補完する形で現在試験を行っている」と説明した。
 年間宿泊者数(4万2352人)のC評価を巡っては、委員が「現在整備されているホテルの開業に大いに期待している。これに加え、最近、高校野球の強豪チームの合宿が市内で行われており、宿泊施設と合宿を連携させて、宿泊者数を伸ばすような施策を行政として取り組んでほしい」との意見が上がった。
 村上知幸商工交流部長は「合宿はここ数年すごく伸びている分野。体育スポーツ施設を有し、冬に雪が少ない温暖な気候であることも当市の強み。市としては本年度、合宿をした個人・団体への補助事業を制度化した。そのような制度をPRしながら(宿泊を伴う)合宿を増やしていきたい」と答えた。
 かさ上げ地利活用予定の割合は、45・4%でB評価となった。これに関して委員が「取り組み状況としてパンフレットを配っていると記載があるが、それだけでは(土地利活用は)伸びない。具体的な企業誘致活動などを教えてほしい」と尋ねた。
 髙橋宏紀土地活用推進課長は「企業に対して市場調査を行ったうえ、個別に企業を訪問して情報収集している。パンフレットは住宅メーカーなどを中心に配布しており、そうした成果を生かして土地活用につなげたい」と述べた。
 市総合計画推進委は、計画の進ちょく状況や成果を公表し、市民や団体などから意見を聞き、計画の推進に反映させるため設置。市内各種団体の役員、知識経験者、市民代表で構成している。