秋サケ 過去最低の出足 10日時点の県内漁獲速報 大船渡は前年同期の20%と低迷 代替魚種育成の動きも
令和7年11月22日付 7面
県農林水産部水産振興課は、今月10日時点の秋サケ漁獲速報を発表した。県全体の沿岸・河川累計捕獲数は6938匹で、前年同期の65%にとどまる。大船渡市魚市場への水揚げ数は、前年同期のわずか20%で、県内の市場では最低の割合に沈む。回帰率の低迷を受け、県内の各ふ化場では、有効活用策として代替魚種の育成に着手する動きも活発化しており、一時代を築いた秋サケ事業は、〝大不漁〟を機に新たなフェーズに入ろうとしている。(菅野弘大)
本県における定置、磯建網などによる沿岸漁獲数は、10日現在で3643匹(重量8・5㌧)で、前年同期の5041匹(同12・5㌧)に対して72・3%。河川捕獲数は3222匹で、前年同期の58・9%と、いずれも下回る。
魚市場別の漁獲数を前年同期で比較すると、田野畑を除いていずれも前年を割り込む状況に。大船渡は特に低迷が顕著で、数量は前年同期の456匹に対し、今年はわずか92匹しか水揚げされておらず、重量、金額ともに20%前後と過去最低となっている。
気仙の河川捕獲数をみると、吉浜川が16匹(メス5匹、オス11匹)、綾里川が8匹(メス5匹、オス3匹)、気仙川が68匹(メス22匹、オス46匹)で、いずれも前年同期を下回る。採卵数は吉浜川が5000粒、気仙川が4万1000粒と、前年には遠く及ばない。
気仙では、各漁協で採卵した卵を、拠点ふ化場となっている陸前高田市の広田湾漁協の施設に集約して管理、育成している。今年は北海道からの移入卵もあるというが、近年の大不漁を鑑みると、計画数に届くかは難しい状況とみられる。
各地で採卵が本格化する中、先月末に降った大雨の影響で、気仙のサケ採捕施設も被害を受けた。大船渡市の盛川漁協(佐藤由也組合長)では、川の増水で盛川の施設の網に流れてきた大木と土砂がかぶさり、復旧のめどは立っていない。
秋サケの低迷により、各漁協では組合の経営存続に向けて知恵を絞る。ふ化場の有効活用策として、新たな魚種の育成の動きも出ており、盛川漁協では、水産大手の㈱ニッスイの協力を得て、ふ化場でトラウトサーモンの稚魚育成を始めた。育てた稚魚は、同社と越喜来漁協が越喜来湾で取り組むサーモン試験養殖の現場に出している。
佐藤組合長は「秋サケは全県的に極めて深刻な状況で、魚が見えず、良い悪い以前の問題だ。秋サケに代わる良い案もないため、回帰量が戻ることを願うよりも、新しいものにいち早く取り組み、本格的な事業化に向けてやっていくのが正解なのではないか」と語る。






