感謝込め 古里で歌声 大船渡市出身・新沼謙治さん デビュー50周年記念公演
令和7年11月25日付 7面
大船渡市出身の歌手・新沼謙治さんのデビュー50周年を記念したコンサートが24日、同市盛町のリアスホールで開かれた。ファンをはじめとした、多くの人の支えに感謝を込め、古里・大船渡に伸びやかな歌声を響かせた。(栗村勇翼)
新沼さんは、日本テレビのオーディション番組「スター誕生!」をきっかけに、昭和51年2月1日に『おもいで岬』でデビュー。同年、シングル第2弾『嫁に来ないか』で大ヒットを飛ばし、この年の新人賞を総なめすると、NHK紅白歌合戦に初出場を果たした。
東日本大震災を受け、大船渡への思いを込めた『ふるさとは今もかわらず』を発表し、母校である市立第一中の生徒を含むコーラス隊とともにレコーディングに臨んだ。このほか、大船渡を歌った曲を度々発表するなど、古里への変わらぬ愛着を持ち続けている。
コンサートは、新沼さんのデビュー50周年を記念して、地元である大船渡で開催。同日は、開場の数時間前から多くの人が待機。市民をはじめとしたファンら約1000人が来場した。
コンサートが始まり、『おもいで岬』の歌声とともにステージに新沼さんが登場すると、来場者らが温かい拍手で迎えた。新沼さんは続いて、『盛川』、大船渡や妻の故・博恵さんへの感謝を詞に乗せ今年4月にリリースした『思い出したよ故郷を』『アルバムの中の君』を披露した。
このあとも代表曲の数々を生き生きと響かせ、曲間のトークでは笑いを誘い、来場者とのやりとりでも盛り上がりを見せた。
また、甘竹勝郎元市長と渕上清市長がステージに上がり、新沼さんとともに『三陸・大船渡』を歌う一幕も。来場者らが、3人による普段は見られない掛け合いにも注目しながら楽しんだ。
同日は、遠方からも熱心なファンが駆けつけた。来場者の中には、新沼さんの名前がプリントされたTシャツや法被を羽織り、ペンライトを振って声援を送る人の姿も見られ、〝謙治一色〟に染められたひとときを満喫していた。
「久々にいろいろな顔が見られて幸せ」などと帰郷を喜び、大船渡に生まれてきたことへの感謝も口にした新沼さん。歌唱中には客席を回って、来場者らと握手を交わし、今も変わらぬ声援の一つ一つに感謝を伝えていた。
同日は、市大規模林野火災被災地に心を寄せ、発災以降のコンサート会場で呼びかけたという募金約12万円を渕上市長に直接手渡し、一日も早い復旧・復興を願った。






