夜の船内見学楽しんで 初の「気仙丸ナイトツアー」 大船渡商議所などの利活用協議会企画 29日と来月5日に、参加無料
令和7年11月26日付 7面
大船渡市の千石船「気仙丸」利活用推進協議会(会長・米谷春夫商工会議所会頭)は、「気仙丸ナイトツアー」を29日(土)と12月5日(金)の午後5時~7時に開催する。これまでも船内見学を受け付けているが、夜間に受け入れるのは今回初めての試み。申し込み不要で、参加費無料。参加を広く呼びかけている。(佐藤 壮)
気仙丸は、大船渡町のおおふなぽーと付近での陸上展示開始から4年が経過。同協議会では、地元の船大工が手がけた木造船技術の継承・発信にとどまらず、地域活性化や交流人口拡大といった役割も期待されている中、昼間とはひと味違った雰囲気を楽しんでもらおうと企画した。
29日はガイド付き説明会を午後5時、同5時45分、同6時30分に各30分程度開催し、自由な見学にも対応する。
12月5日は、同日開幕する大船渡駅前のイルミネーションイベント「おおふなとの灯」に合わせ、船体には電飾が施される。華やかな雰囲気に包まれた気仙丸を自由に見学できる。
同協議会は現在、クラウドファンディングサービスの「READYFOR(レディーフォー)」で資金協力を呼びかけている。長年、雨風にさらされて老朽化が進み、特に船室屋根部分からの浸水が深刻。早急な対応が求められている中、第一目標額を300万円とし、寄せられた支援は防水処理に生かす。
目標額のうち200万円は防水防雨シートの施工や固定具の設置に充てる。残る100万円は、腐食部の局所的な修繕に加え、付着した藻類や菌類の除去に活用する。
期間は12月24日(水)まで。達成した際には、来年2~3月にかけ、船室の屋根部分となる甲板で重点的に防水対策を行う。塗装の剥がれが目立つようになった甲板からの腐食や雨水の浸入を防ぐことで、船室の保護も見据える。
1万円の支援ではオリジナルの木彫りキーホルダーを贈るほか、5万円は撮影場所として半日貸与する。さらに100万円では、千石船が運んだとされる高級食材・干鮑を味わう夕食などが盛り込まれた1泊2日ペアの「鮑の聖地巡礼・満喫ツアー」もある。
気仙丸は、木造千石船の復元船。迫力あふれる外部だけでなく、干鮑などが入った俵物を運ぶための荷室や、帆をスムーズに立てる構造など、道路沿いから見ることができない内部にも、船大工の技術が光る。
古くから気仙地方は漁業を中心とした生活が営まれ、造船技術も養われてきた。気仙杉をはじめ良材にも恵まれたほか、船大工の出稼ぎと相まって造船技術も各地から導入された。
クラウドファンディングは専用サイト(別掲QRコード)で対応。ツアーも含めた問い合わせは協議会事務局の大船渡商工会議所(℡26・2141)へ。






