J─クレジット販売好調 7年度実績(10月末時点)831㌧ 市が創出 岩手銀行と連携しPR強化へ
令和7年11月28日付 7面
陸前高田市が創出する市有林J─クレジットの令和7年度販売数量・金額が、10月末時点で831㌧、1247万円に達した。10月は3事業者に計330㌧を売り、今年2月の発売以降、好調を維持している。これまでは主に都内の事業者が購入しているが、市は岩手銀行(岩山徹代表取締役頭取)と連携し、県内事業者へのPRを強化していく。市は県内外の企業などが森づくりを体験できる「企業等による森づくり制度(企業の森制度)」も運用しており、J─クレジットと同制度を柱に林業振興を図る。(高橋 信)
J─クレジット購入事業者向けに実施している森林見学会(陸前高田市提供)
J─クレジットは、森林の適切な管理を行うことで生じる二酸化炭素(CO2)吸収量をクレジットとして国が認証する制度。購入した事業者は、企業活動で排出されたCO2量に相当するクレジットを購入することで、オフセット(埋め合わせ)できるメリットがある。
市は、気仙町内における市有林約560㌶のCO2吸収量年間約3000㌧についてクレジット認証を受け、2月から1㌧当たり1万5000円(税込み)で販売している。
7年度は10月末現在、延べ9事業者が購入。6年度は2カ月の販売期間で3社に計150㌧分を売り、10月末までの販売累計は981㌧、1472万円となった。
市は5年、公益財団法人Save Earth Foundation(セーブ・アース・ファンデーション)、ワタミエナジー㈱と森林資源活用に関する連携協定を結んだ。資源循環と森林再生・保全を展開する同法人は、加盟会員などに市のJ─クレジットをPRしており、こうした地道な取り組みが販売先の確保につながっているという。
今月26日には、岩手銀行と販売に関する協定を締結。同行は取引先企業などに市のJ─クレジット購入を勧める。
販売在庫は10月末現在2015㌧。希望する購入者にはクレジット創出の対象森林を案内する見学会を実施しており、累計100㌧以上の購入者向けに地元材を使った記念盾を用意している。
企業の森制度は6年度に創設。市は社員研修やレクリエーション活動の場などとして民間企業に市有林を提供し、企業は市に対して年間50万円の協賛金を支払う仕組みで、7企業、1学校法人が参加している。
市は、J─クレジットの売り上げと同制度の協賛金を市森づくり基金に積み立てており、森林整備などの財源に充てる。
市農林課林政係の蒲生夏生係長は「岩手銀行との連携のもと、県内向けの販売チャネルを設けることができた。行政のみでは難しい企業へのPRを、協定を結ぶ企業・団体のお力をお借りしながら効果的に進めたい」と語る。






