「支えに感謝し力合わせて」 金剛寺で仏式結婚式 小林瑛真副住職と大槻良崇さん(千葉県・瀧泉寺)(別写真あり)

▲ 金剛寺で仏式結婚式を挙げた小林瑛真副住職㊨と大槻良崇さん

 陸前高田市気仙町の真言宗智山派・如意山金剛寺(小林信雄住職)で11月30日、住職の長女、小林瑛真(本名・真子)副住職(29)と、飛龍山瀧泉寺(千葉県袖ケ浦市)の僧侶・大槻良崇さん(27)=同市出身=の仏式結婚式が行われた。新郎新婦と両家親族、金剛寺の檀家らや地域住民が、日本伝統の作法で2人の門出を祝福。新郎新婦は、多くの支えに感謝しながら「寺を守っていくために力を合わせたい」と誓った。(菅野弘大)


 2人の門出を祝うかのような青空が広がった同日。式に先立ち、金剛寺境内では地域の伝統的な風習である「迎え酒」が用意され、2人は拍手で迎えた住民らから手厚い祝福を受けた。写真撮影にも臨み、時折笑顔を見合わせながら、和やかな時間を過ごした。
 式には、新郎新婦の両親や親族、寺の総代など約50人が参列。遍照講による御詠歌に続き、2人が緊張した面持ちで本堂に入った。同じ気仙町の宮城隆照長圓寺住職が戒師として式を厳修し、本尊前で啓白文を読み上げた。本尊法楽、塗香と念珠の授与、指輪交換などと続き、戒律を受けた2人は、金剛誓水(三三九度の儀)で杯を酌み交わし、夫婦の契りを結んだ。
 仁和4年(888)の創建とされ、1100年以上の歴史を持つ同寺。東日本大震災で本堂のほか、位牌堂、庫裏、山門などが流失し、檀家、檀信徒の多くが被災したが、もとの本堂があった裏山を切り崩して土地を確保し、平成29年に自力再建を果たした。
 僧侶・仏教者を養成する大正大学在籍時に出会った2人。千葉県から婿入りする良崇さんは、2年前に初めて陸前高田を訪れ、まちの景色を見たり、小林住職の話を聞くなどして震災について考えるようになった。「震災で大きな被害を受けた被災地だが、災害を乗り越えた地域の人たちの力強さを感じた」という。
 1年半ほど前からは、僧として同寺の行事も手伝うようになり、気仙の風習も教わりながら、徐々に地域に溶け込んでいった。「お寺と地域の方々との距離がすごく近くて、温かく迎え入れていただいた」と感謝を示す。
 今回の結婚式も、家族や総代、檀家に加え、同じ宗派の長圓寺、円城寺(同市矢作町)、光勝寺(住田町世田米)の協力があって実現。「純粋に楽しかった」と結婚式を振り返った瑛真副住職は「お寺も私たちも、地域や多くの人たちに支えられて成り立っている。住職のパワフルさに負けないように頑張りたい」と気持ちを新たにする。
 「年中行事や檀務など、住職から勉強させていただきながら精進したい」と良崇さん。2人で「明るく、仲良く、楽しい家庭を築き、力を合わせてお寺、地域を盛り上げていきたい」と決意を込めた。