大船渡 本州一の座キープ 全さんまの11月末集計 水揚げ数量7826㌧ 2位の気仙沼と僅差

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は、令和6年・7年の対比サンマ水揚げ状況を発表した。11月30日現在、大船渡市魚市場に水揚げされた数量は7826㌧(前年同期比2180㌧増)で、本州2位の気仙沼(宮城県)とわずか37㌧差で本州一の座を維持する。金額は25億4359万円(同2億3863万円減)で、前年同期比1割減と伸び悩む。漁期も最終盤に入った中、気仙沼との本州首位争いの行方に注目が集まる。(菅野弘大)

 

 全さんまの発表によると、同日現在の全国数量は前年同期比58%増の6万1269㌧、金額は同17%増の210億1468万円。いずれも前年を上回り、令和に入ってから最多の実績となっている。
 数量は、北海道分が3万3845㌧で、同9942㌧(42%)の増加。本州合計は2万7423㌧で、前年同期を1万2644㌧(86%)上回った。
 本県においては、大船渡、釜石、宮古の3港で数量9922㌧(前年同期比2786㌧増)。大船渡が78%を占め、大型船を所有する地元企業やサンマを取り扱う水産加工業者の力もあって、数量、金額ともに本州トップを維持する。
 10月末時点の実績と比較すると、北海道の数量は648㌧の微増。道東海域への来遊量が減少し、11月中旬以降は漁場も形成されなかったことから、最後に伸びを欠いた。
 本州は、1カ月間で1万5060㌧を上積みした。3376㌧増の大船渡をはじめ、宮城県の気仙沼、女川、千葉県の銚子も大きく水揚げを伸ばしている。
 一方の水揚げ金額は、大船渡は前年から9%の微減。1㌔当たりの平均単価は325円と、前年から167円下がった。11月中旬以降の平均単価が100円台まで下がるなど、需給バランスや魚体組成を要因とする単価安が響いた。
 今季のサンマ漁は、公海漁場での漁期序盤から大ぶりな魚体が多く、北海道をはじめ、全国的に好調な滑り出しに。大船渡においては、8月29日の初水揚げから地元の大型船を中心にまとまった量を継続的に水揚げし、9月末で2000㌧を突破。10月に2000㌧、11月にさらに3300㌧を上積みした。
 令和に入って最多の水揚げ数量となり、11年連続の本州一に向けて突き進む大船渡だが、これを猛追するのが2位の気仙沼。三陸海域での漁場形成により、漁場との距離の関係や、大型冷蔵庫を所有する業者の強みも生かして、11月に入ってから入船、水揚げが急増した。1カ月間で大船渡を上回る約4000㌧を積み重ね、同月末時点で大船渡に37㌧差と詰め寄る。
 大船渡と気仙沼はかつて、数量で本州一の座を争っていた。大船渡は、平成26年に僅差で首位を明け渡したが、翌27年に奪還し、以降は10年連続でトップに立ち続けてきた。
 一般社団法人漁業情報サービスセンターが発表した本年度第9回サンマ中短期漁況予報(12月上旬~12月下旬)によると、三陸海域への来遊量は低位水準で減少し、12月中~下旬は断続的。上旬は三陸南部に漁場が形成されるが、中~下旬は形成されない見込み。終漁も迫る中、水揚げのラストスパートが期待される。
 全さんまがまとめた実績は別掲。