市長「いったん取り消す」 フィールドワーク実現で「公約達成」の発言 大学誘致巡り 市議会一般質問で謝罪・撤回

▲ 大学誘致を巡る記者懇談会での発言について謝罪した佐々木市長

 陸前高田市議会12月定例会は4日、通告に基づく一般質問が行われた。佐々木拓市長は10月の記者懇談会で、自身の選挙公約「大学誘致」に関し、県外大学による市内でのフィールドワークを実現させれば「公約は達成したと理解する」との趣旨の発言をしたことについて、「私の一方的な思いを発言してしまい、誠に申し訳なかった。いったん取り消したい」と謝罪、撤回した。(高橋 信、2面に一般質問の主なやりとり)

 大学誘致を巡る佐々木市長の発言を取り上げたのは、藤倉泰治議員(日本共産党)。「依然として(大学誘致の)内容が示されていない」と指摘したうえ、「『フィールドワークを行うことで調整』『大学生が行き交うこととなり公約は達成したと理解する』との(新聞)記事が載った。その意味はどういうことか」と尋ねた。
 これに対して、佐々木市長は令和5年2月の市長選で、公約として大学誘致を打ち出した背景を説明。「コミュニティホールや奇跡の一本松ホールを大学の講義棟と見立て、夢アリーナたかた、高田松原運動公園など、とても素晴らしい環境を備えていると感じた。中心市街地を一つの大学のキャンパスと見立てれば、国内外の大学と比べても勝るとも劣らない大学のキャンパスに適した環境であると感じた」と述べた。
 また、選挙時の活動について「市民らとのミニ集会では、陸前高田に新たな校舎を建てることなく、大学生や教員に災害公営住宅などに滞在してもらい、講義を受けたり、運動や合宿をしてもらってはどうかという話もした」と振り返り、「多額の税金を使って新たに大学の校舎を造るという考えはなかった。復興によってできた施設の維持管理費用が将来的にかさむのではないかという市民の意見もあったので、既存施設の利活用を訴えた」と強調した。
 そのうえで「記者懇談会における『公約は達成したと理解する』というような発言は、大学誘致の内容を具体的に明らかにしていない中で、私の一方的な思いを述べてしまい、誠に申し訳なかったと感じている。いったん取り消したいと思う。大学誘致の実際がどのようなものかについては今後、しかるべき時期に詳細に説明したい」と答弁した。
 再質問で、同議員は「大学誘致について、市民はフィールドワークとは思っていない。そのことを市長はどのように感じているのか」と追及した。
 これに対し、市長は「今考えると、選挙公報や公開討論会、街頭での演説などで細かい説明はできず、政策を丁寧に訴える場があまり多くなかったと思っている。私の本当に反省すべき点。議員の指摘をしっかりと胸に刻み、当時の反省点も認識にしながら対応していきたい」と陳謝した。