橋桁の架設が本格化 架け替え工事進む昭和橋で

▲ 橋桁の架設が始まった昭和橋の架け替え工事

 県が住田町世田米を流れる気仙川で進めている昭和橋の架け替え工事で、橋桁の架設が本格化している。順調に進めば10日間ほどで架設が完了する見込みで、年内には新たな橋の姿が見えてくる。令和9年3月末までの工事完了が見込まれる中、県大船渡土木センター住田整備事務所では「着実に工事を進めていきたい」としている。(清水辰彦)

 

 気仙川に架かっていた長さ73㍍の昭和橋は、昭和8年に架けられた。かつて宿場町として栄えた世田米商店街側と、町役場などがある川向地区を結ぶ。気仙川沿いに立ち並ぶ蔵並みと調和し、歴史や古き良きたたずまいを感じさせる景観を形成してきたが、県の治水対策の一環で架け替えられる。
 新しい橋は、鋼桁とコンクリートを合成したものを用いて建設。橋長は72㍍、幅員は7・8㍍。工事は気仙川の稚魚放流時期やアユ漁解禁期間、出水期を避けながら進められている。
 旧橋の解体工事は令和4年11月に開始され、5年1月に撤去が完了。旧橋の高欄に残っていた太平洋戦争の空襲で弾片が貫通したとされる穴や、橋名を記した親柱は新橋完成後にモニュメントとして設置する予定で、現在は世田米の町農林会館近くで保管されている。
 架け替え工事では、町役場側、商店街側それぞれの橋台は5年度中に設置が完了した。6年度からは橋の中央部に設けられる橋脚などの下部工工事や、商店街側の護岸整備が進められ、今年8月末には橋脚、護岸の一部(延長約50㍍)が完成した。
 橋桁の架設作業は今月3日に本格化した。関東圏の工場で製作された橋桁は分割して陸送され、現地で組み立てながら架設されている。
 3、4の両日も、寒波襲来で雪が吹き付ける中、作業員たちが安全に工事を行った。作業用の橋には大型の重機が乗せられ、細長く分割された橋桁が一つずつ慎重に取り付けられている。
 橋桁は、はじめに町役場側から橋脚まで設置し、その後、対岸の商店街側から橋脚まで架ける。架設後は、橋桁の上に車両走行時などに荷重を受ける「床版」を本年度内をめどに製作し、引き続き高欄の取り付けや舗装工事を進め、来年7月上旬に上部工が完成予定。その後は町道の取り付け道路工事を経て、9年3月末までに工事が完了する見込み。
 護岸工事も引き続き行い、8年度中に左岸側延長189㍍を整備。以降、右岸側178㍍の工事を進めていく。