将来見据えて体制検討 上有住の五葉地区 移動支援の先進事例学ぶ

▲ 移動支援の先進事例を学んだ研修会

 住田町五葉地区の地域協働組織・五葉地域づくり委員会(藤井洋治会長)は3日夜、同地区公民館で移動支援の研修会を開催した。このほど視察を行った岩泉町の事例報告や、陸前高田市横田町で行われている取り組みについての説明を通じて、今後、人口減少と高齢化の進行によって必要となってくることが見込まれる、移動支援による住民の〝生活の足〟確保について学んだ。同地区では今後も検討を重ね、将来を見据えた体制づくりを進めていく。(清水辰彦)


 人口は先細りで、独居高齢者は増加傾向──。五葉地区は人口230人で高齢化率が60%を超えており、免許返納者は今はまだ少ないが、将来的に増加していくことが予想される。
 町内では、大股地区の住民協働組織「スマイルおおまた大股地区振興協議会」が、外出困難な高齢者らを対象に町内の店舗や役場、金融機関などを往復する取り組みを先進的に展開している。
 五葉地区では現在、隣近所で乗り合わせて買い物に出かけたり、運転できない知人の分まで買い物をするなど、住民同士の小さな支え合いはあるが、「体制」としての移動支援の必要性が高まっている。
 住み慣れた地域で暮らしていくためにも、交通弱者の移動手段確保は最重要課題となっており、地区内では町が行うデマンド交通だけではカバーできない部分を支えようと、将来を見据えて住民が主体となる移動支援実施の検討を進めている。
 研修会には住民ら約20人が出席。陸前高田市まちづくり推進課の小野勝彦課長補佐、横田町交通研究会の村上豊繁代表らが説明に足を運んだ。
 はじめに、町地域包括支援センターから生活支援コーディネーターの業務を受託している同町の一般社団法人・邑サポートの奈良朋彦代理理事が、11月に行った五葉地域づくり委による岩泉町大川地区の移動支援視察について報告。面積の9割以上が森林で、道路は狭隘区間が多いなど、住田町とも共通点のある地区での取り組みが詳細に示された。
 引き続き、横田町交通研究会の取り組みが説明された。同研究会では、高齢者らの移動手段として、予約式の乗り合い車両を運行。ごみ集積所に加えて、利用登録者の自宅付近でも乗り降りしており、車両は、町内の企業の社有車をレンタカーとして利用。財源は、市で定めた「支え合い交通」に対する補助制度を、地域交付金と合わせて活用しているという。
 研修会での事例説明も参考に、五葉地区では今後、住民のニーズや利用者の把握、運営方式など、時間をかけて検討していく。
 藤井会長は「岩泉町と横田町の取り組みは、ともに参考となる事例。いずれも交通に不便さを感じている地域ということで、五葉とも共通する部分がある。今後の検討の参考としていきたい」と話していた。