県内外の約1400人快走 奇跡の一本松マラソン ハーフなど市内コースで
令和7年12月9日付 6面
陸前高田市の「奇跡の一本松マラソン」(実行委主催)は7日、高田町の夢アリーナたかたを発着点とするコースで行われた。県内外の約1400人が参加し、1237人が完走。絶好のマラソン日和となった中、ランナーらは東日本大震災後に整備された市街地や奇跡の一本松など、復興の象徴的な風景と豊かな自然を目に焼き付けながら、コースを駆け抜けた。(阿部仁志)
同市のマラソン大会は、震災後から令和5年までは「復活の道しるべ 陸前高田復興応援ありがとうマラソン」(旧称・陸前高田応援マラソン)として開催。交流人口の拡大、スポーツ振興などを図り大会名や内容を刷新し、市、市スポーツ協会、商工会女性部などで実行委を立ち上げ、昨年から「奇跡の一本松マラソン」の名称で開いている。
今回は、男女別のハーフ、3・2㌔、1㌔とファンラン(3・2㌔)の各種目を用意。事前予約のエントリー数は、前年比355人増の1412人となった。
晴天に恵まれたこの日、開会式では、自身もランナーとして出場した佐々木拓市長が、ゲストを含む多くの来場者や大会運営関係者に感謝しながら「美しくなった陸前高田のまちを見てもらいたい。けがのないよう、頑張って走っていただきたい」とあいさつした。
次いで、大会応援ゲストとして来市した俳優の上野樹里さんと、宮城県仙台市の総合建設業「リンクロノヴァ」代表取締役で、ユーチューバーとしても活躍する陸前高田市出身の長野雅喜さんがマイクを握った。それぞれ1㌔のコースに参加することを伝え、震災後に力強く進められてきたまちの復興への思いを語った。同市出身で砲丸投げの佐藤征平さん=横田町出身=と、妻でトライアスロン選手の佳子さんもエールを送った。
その後、ハーフマラソンから順にスタート。ランナーらは、ピストルの音や地元の氷上共鳴会による和太鼓演奏を受けて勢いよく出走し、コース沿いに詰めかけた仲間や地域住民らが大きな声援を送った。映画やアニメなどのキャラクターの仮装で大会を盛り上げるランナーも注目を浴びた。
高校生以上が挑戦したハーフは、中心市街地や高田松原津波復興祈念公園の奇跡の一本松、高さ12・5㍍の防潮堤上に加え、今年新たに海側の砂浜そばもルートに設定。きらめく海や心地良い潮風、沿道の人々からの「頑張れ」という応援を受け、ランナーたちが笑顔を浮かべながらゴールを目指した。
小学生は1㌔で健脚を競った。小学1~3年生の部(男子)に大船渡市から参加した熊谷海李さん(立根小3年)は「ラストスパートで後ろの選手が追い上げてきてひやひやしたけど、最後まで頑張って走り抜けた。いつも以上の走りができた」と達成感に満ちた様子だった。






