残金約4・6億円 森林再生に 大規模林野火災義援金の配分 第5次で終了 産業分野の協同組合支援も決定

 大船渡市は8日、大規模林野火災義援金の第5次配分額を示した。被災した農林水産施設などの再整備に関する自己負担分の軽減に向け、関係する産業分野の協同組合に約1億6700万円を支援する。残額の約4億6000万円に関しては、市の基金として積み立て、森林災害復旧事業の対象とならない山林所有者の経費支援に充てる方針。配分は今回の第5次で終了し、義援金の受け付けは26日(金)で締め切る。(佐藤 壮)

 

 5日に義援金配分委員会(委員長・刈谷忠市社協会長、委員7人)の第5回会合が開かれ、新たな配分額を決めた。委員会は非公開で行われ、市は8日に会議結果を公表した。
 義援金の受け入れ総額は、11月30日現在で17億6428万2373円(県配分委員会からの8億2565万8809円を含む)。第5次配分額は約1億6700万円で、8月までに決定した第4次までの配分額を合わせると、13億791万円の配分先が決まった。
 第5次は、産業分野を担う協同組合への支援とする。被災した農林水業施設等の再整備に伴う自己負担分の軽減に向け、補助事業の対象となる漁協、森林組合、農協に配分。市は定置網保管庫やワカメ養殖、林業機械などの各復旧整備に向けて補助金交付を進めてきたが、割合は「4分の3」「3分の2」などとなっており、多額の事業費を要する中で組合組織や漁業者らの負担の大きさが課題となっていた。
 配分額は、各補助事業における組合負担分の4分の3とする。各事業負担額の確定後に配分する。
 第1次~第3次の配分は、住宅が被災した世帯を中心に進められた。すでに被害に応じた対象世帯への配分は終えており、建設・購入で再建した世帯への加算支給は、5件程度に行っている。第4次では、被災した綾里、蛸ノ浦両地区のコミュニティー再生活動に1611万円の支援を決めた。
 第5次をもって義援金の配分は終了。11月末時点での残額4億5637万円に関しては、被災した山林所有者の支援に充てる。土壌保持や保水力といった治山機能など、森林の公益的機能の低下が懸念される森林の災害復旧促進に向けて市の基金として積み立て、国の激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業の対象とならない経費の支援に充てることにしている。
 同事業では、被害木の伐採と整理作業(地ごしらえ)に加え、植樹やシカ防護網の設置などを行う。伐採や植栽に対する所有者の負担はないが、森林保険の保険料や除草作業以降の管理費用などが発生する。
 木材の運搬・売却も所有者側で行うことになり、場所によっては木材売却益よりも運搬費用が上回る可能性があるという。市はこれまで、こうした所有者負担の軽減策を検討する方針を示してきた。
 市は出火直後から義援金を受け付けてきたが、26日で終了する。27日(土)以降の受け入れは災害見舞金として対応し、市の災害復旧・復興事業などに活用される。
 市保健福祉部の藤原秀樹部長は「国内外から他に例をみないほど多くのご支援を義援金としていただいた。住宅被災やなりわい再生には、ある程度手厚い支援になったと思うが、森林再生が今後の課題となっており、山林所有者の負担軽減にも生かしていきたい」と話している。
 第1次~第5次の配分先は別掲。