大船渡で最大20㌢の津波 青森東方沖でM7・5地震 気仙にも深夜の警報響く 注意報解除も警戒必要(別写真あり)
令和7年12月10日付 1面
8日午後11時15分ごろ、青森県東方沖を震源とする最大震度6強の地震があった。震源の深さは約54㌔、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・5。気象庁は同11時23分、北海道と青森、岩手両県の太平洋沿岸に津波警報を発表。大船渡では最大20㌢の津波が観測された。大船渡、陸前高田両市は3902世帯8680人に避難指示を出し、多くの市民が避難所に身を寄せた。警報は9日午前2時45分に注意報に切り替わり、同6時20分に解除されたが、国では平時に比べて大規模地震発生の可能性が高まっているとして初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表。発生から1週間を対象期間とし、すぐに避難できる態勢を維持して備えを再確認するよう呼びかけている。
本県沿岸に津波警報が出されたのは今年7月のロシア・カムチャツカ半島付近の地震以来。
気仙3市町は震度3の揺れで、津波は大船渡港で8日午後11時57分に第1波が到達し、9日午前0時7分に最大波が観測された。
大船渡、陸前高田両市が開設した避難所にはピークで392人が身を寄せ、注意報解除を受けて自宅へと戻った。3市町とも、同日午後5時までに大きな被害の報告はない。
カムチャツカ半島付近地震の津波では、カキなど海の養殖施設が被害を受けており、今回も影響が懸念された中、大船渡市大船渡町の下船渡漁港では漁業者らが船を出し、大船渡湾内の状況を確認。大きな被害は確認されず、海上での水揚げや作業場でのカキのむき身作業など、平穏な朝の光景が広がった。
カキ養殖業の久保田健治さん(58)は「過去には、湾口防波堤付近の養殖施設でブロックが動いたりする被害があり、復旧には時間も金もかかる。カキむきのシーズンで被害が心配されたが、まずは一安心というところ」と話した。
大船渡養殖組合の中島達也組合長(60)は「津波警報が発令された時は、ロシアのカムチャツカ半島地震のこともあり『またか』と思った。湾内を1周してきたが、とりあえずは大丈夫そうだ。われわれは自然相手の仕事で、その脅威には勝てない。それでも、海とともに生き、海を守っていかなければならない」と気を引き締めた。
陸前高田市の広田湾漁協によると、9日午後4時現在、市内における水産関係で大きな被害の報告はないという。
同日、学校は大船渡市内の小中学校がすべて休校となった。陸前高田市内の小中学校と気仙地区内の県立高校は、通常通り授業を実施した。
公共交通機関は、JR大船渡線BRTが始発から上下16便を運休し、午前9時台の便から再開。三陸鉄道は始発便を運休し、注意報解除後に順次運行を再開した。県交通バスは通常通り運行した。
また、県警察本部は同日午前10時30分ごろ、警察を名乗る地震に便乗した詐欺電話が発生したとして注意を喚起している。
同本部によると、「+」から始まる国際電話番号で県警察を名乗り、「昨夜の地震で何か被害はなかったか」と尋ねる電話があった。警察官が国際電話番号を使い連絡することはないとして、警察を名乗る不審な電話があった際はすぐに切り、警察署へ相談するよう呼びかけている。






