避難所備蓄充実へ補正計上 大規模林野火災を踏まえ 市議会12月定例会開会 復興イベントやクマ対策も

▲ 12日間にわたる〝師走議会〟がスタート

 大船渡市議会12月定例会は12日に開会し、当局は、大規模林野火災関連事業やクマ対策事業を計上した本年度一般会計補正予算など議案8件を提出した。避難所運営の経験を踏まえた災害備蓄品の充実、被災したテレビ共同受信施設復旧補助、3月の復興イベント事業開催などを見据える。クマ対策では、都市公園の伐採・刈り払いに関する事業費を盛り込んだ。各議案は最終日の23日(火)に採決が行われる。(佐藤 壮)

 

 本年度の一般会計補正予算は、歳入歳出に5億7190万円を追加し、補正後の総額を250億6821万円とするもの。
 このうち、大規模林野火災関連事業は、1億7530万円。主な内訳は▽災害廃棄物処理費3000万円▽新たな森林経営管理事業900万円▽林野火災被災テレビ共同受信施設本復旧支援事業7145万円▽大船渡復興・経済活性化推進事業1000万円▽防災関連事業4114万円▽森林災害復旧費529万円──となっている。
 テレビ共同受信施設は現在仮復旧しているが、安定した視聴に向けた本復旧を支援する。管理団体への助成で、三陸町綾里の自主共聴施設は宮野、田浜、綾里に加え、NHK共聴施設の野々前。赤崎町はNHK共聴施設の長崎となる。補助率は国が2分の1、市が4分の1で、計4分の3。
 大船渡復興・経済活性化推進事業は、3月14(土)、15(日)の両日に開催される全国椿サミット大船渡大会に合わせての復興イベント開催を目指す。商工会議所、大船渡地域戦略などと内容の検討を進め、林野火災から1年が経過した現状と復興に向けた取り組みをはじめ、さまざまな情報を市内外に発信する方針。市外からの来訪も促して活性化につなげる。
 防災関連事業のうち、避難所環境整備では、長期保存可能な食料(25年保存)や水(15年保存)の増強を図る。保存食は、カレーや雑炊、クラッカー計1万8500食分と、保存水は500㍉㍑のペットボトルで4800本を確保する。
 資機材では、パーティションテント410張(応援自治体への返却分を含む)、フロアマット300枚(同)、車椅子20台、職員用ビブス110枚をそれぞれ増やす。地区公民館や小中学校、地域公民館など指定避難所92カ所と、介護施設や障害者施設の福祉避難所27カ所には、避難所表示板の作成・設置を進める。
 食料はこれまで、市内では1日程度分は準備していたが、食料が届かない事態を想定して2日分程度に増強する。パーティションテントは火災前は200張程度しかなく、他自治体から寄せられたものも活用した。6月補正で400張を確保しており、今回の補正で計1000張の備蓄とし、数千人規模の避難にも対応できる体制を整えることにしている。
 クマ対策では、465万円を計上。市立こども園や小中学校への撃退スプレー配置、市鳥獣被害対策実施隊向けの撃退スプレー、追い払い用花火、防護盾、箱わな、ヘルメットの購入に加え、みちのく潮風トレイルコースへの注意喚起看板設置、都市公園に伸びる木の伐採や刈り払いなどを見据える。
 林野火災やクマ対策以外では、冬季の経済負担軽減を図る福祉灯油事業に2656万円を計上。市民税非課税の高齢者世帯、重度障害者がいる世帯、ひとり親世帯、生活保護世帯が対象で、一世帯あたり7000円を口座振込で支給する。
 補正予算にはこのほか、三陸鉄道支援として1599万円、自立支援給付1億1000万円、生活扶助・医療扶助1億1400万円も盛り込まれている。今定例会の日程次の通り。
 ▽13~16日=休会▽17~19日=一般質問▽20~22日=休会▽23日=本会議