大規模林野火災の公費解体事業 現地作業がほぼ終了 がれき処理は想定超えの約9000㌧に
令和7年12月14日付 1面
大船渡市大規模林野火災に伴い、市が赤崎町と三陸町綾里で展開してきた被災建物の「公費解体」は、現地作業がほぼ終了した。222棟を対象とし、5月下旬に着手した作業では、がれき処理量が想定を上回る約9000㌧に達したが、仮置き場を活用するなどしてスムーズに進んだ。今後は所有者との立ち会い確認を完了させ、来月中には仮置き場の撤去も計画。更地と化した被災地では、がれきの処理・搬送から、新たな土地の利活用に向けた取り組みが本格化する。(佐藤 壮)
被災222棟 着手から半年余りで
公費解体は所有者の希望に応じて行うもので、生活環境保全や2次災害の防止などが目的。全壊に関しては国の災害等廃棄物処理事業補助金を活用し、半壊家屋などに関しては市の独自支援策として進めてきた。
申請棟数は11月末現在で222棟。全壊174棟と全壊以外4棟に加え、「り災届出証明書」で全壊等と判断される外便所や物置といった課税対象外の建物は44棟となっている。
11月末現在で、立ち会い確認も完了したのは186棟。現地作業は今月12日までに、一部でわずかな手直しを要すのみとなっており、ほぼ終了した。
4月から申請が始まり、現地の立ち会いによる境界や撤去部材などの確認を経て、地元事業者を中心に班編制が組まれた現地作業は5月30日に始まった。被災建物は点在し、狭い道路が多い中、申請の受け付け順ではなく、周辺環境への影響や作業条件等を考慮したほか、住宅再建や漁業用の倉庫設置など早期の土地利用を望む住民の意向も尊重した。
がれき処理量は着手前段階で6800㌧を見込んでいたが、最終的には約9000㌧となった。このうち、コンクリートがらが5割強、混合廃棄物が3割強を占める。
がれきは分別後、種別ごとに県内の処分先6カ所に搬送。コンクリートがらやアスベストを含有する災害廃棄物は、被災現場から直接処分先に搬送してリサイクル活用を進めた。
市は赤崎町の永浜・山口工業用地内の県有地に仮置き場を整備し、8月から運用が本格化。これまで現場で行われていた分別作業をまとまったスペースでできることにより作業効率が上がったことで、現場作業班の増強につながり、解体や撤去のスピードが向上した。
11月末までに混合廃棄物や木くず、ガラス類など3300㌧が現場から搬入され、分別や処理施設への移送が進められた。仮置き場での作業もすでに終盤に入っており、1月中の撤去を見込む。
市は年内の完了を掲げてきた中、予定通りの時期に現地作業の終了を迎えた。新沼優市民環境課長は「残すところは立ち会い確認となっている。年内には終了する見込みが立ったことに感謝している。他自治体からの応援職員が加わっての事務作業のほか、狭い道路が多い中、重機の出入りなど、地元の方々の理解も大きかった」と話す。
三陸町綾里では、公費解体とは別事業で進められてきた被災定置網倉庫の解体が進み、各地で更地が目立つようになった。今後は、被災跡地の利活用や建物の再建に向けた取り組みが本格化する。
市がまとめた被災世帯を対象とした住まいの意向調査では、対象60世帯のうち、現地での再建を希望したのは17世帯と、3割を割り込んだ。
長年にわたり、地域に根差した生活や産業が営まれてきた跡地をどう利活用していくか──。将来を見据えた復興施策への関心が今後高まりそうだ。また、建物の爪痕が消えたことで、二度と大火を繰り返さない伝承の重要性も増すことになる。





