年間入洞者2万人を突破 上有住の滝観洞 平成3年度以来34年ぶりに

▲ 年間入洞者2万人目となった佐藤さん㊨

 住田町上有住の観光地・滝観洞の事業年度(2月~1月末)内の入洞者が13日、平成3年度以来34年ぶりに2万人を突破した。昨年、滝観洞観光センターがリニューアルオープンして以降、来訪者は好調に推移。今年も積極的なPRを行ったことで、年間通じて県内外からの観光客でにぎわった。さらなる活気創出に向けて、センターを指定管理する住田観光開発㈱(松田栄社長)では、引き続き積極的な情報発信やイベント企画によるPRを図っていく。(清水辰彦)

 

 本年度2万人目の入洞者となったのは、宮城県東松島市から交際相手と訪れた佐藤滝子さん(49)で、町特産品の詰め合わせなどが贈られた。同日に旅行で本県を訪れたといい、2万人目での入洞に「名前の『滝』つながりで来てみたところ、2万人目と聞いて驚いた。冒険感があって、滝もきれいだった。とても楽しかった」と喜んだ。
 滝観洞は全長3635㍍、高低差115㍍におよぶ国内屈指の鍾乳洞で、洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。洞口から約880㍍地点には高さ約60㍍に及ぶドーム型の空間があり、その天井部の裂け目から落差29㍍の「天の岩戸の滝」が注ぐ。昭和41年に洞窟開きが行われて以来、滝観洞観光センターとともに、町が誇る観光資源として広く親しまれている。
 平成3年度に2万2500人を数えて以降、4年度から徐々に入洞者が減少。平成20年に釜石花巻道路の「滝観洞インターチェンジ」が供用開始し、この効果も手伝って同年~22年度の年間入洞者は1万人以上で推移したが、東日本大震災以降は4桁台に落ち込んだ。
 31年3月には釜石花巻道路が全線開通して三陸沿岸道路とも接続し、内陸部だけでなく気仙両市からのアクセスも向上。令和元年度の入洞者は1万1157人と伸びたが、新型コロナウイルス禍の影響によって2年度から4年度までは1万人を大きく割り込んだ。
 5年度は新型ウイルスの5類移行もあって、入洞者が前年を1600人ほど上回る約9800人まで回復。施設がリニューアルされた6年度は約1万7700人が入洞した。
 新施設は地場産の木材を積極的に使用し、2階建ての施設の1階には物販スペースや受付カウンターなど、2階には食堂や滝観洞の名物「滝流しそば」の体験スペース、テラスを整備した。
 リニューアル後、住田観光開発では積極的な発信を行っており、その成果もあって県内外から多くの観光客が足を運んでいる。券売機やホームページも多言語表記するなどインバウンド対応にも力を入れ、外国人観光客も大きく伸びている。
 リニューアル2年目を迎えた本年度は、昨年度を上回る水準で入り込みが推移。8月は天気にも恵まれ、洞内の〝涼〟を求めて約8000人が訪れた。
 住田観光開発の千葉孝文専務は「滝観洞は〝冒険型〟の鍾乳洞。家族連れ、若い方、シニアの方と、誰でも楽しめる場所にしていきたい」と、さらなる誘客へ力を込める。