存続への方策探る声も 県立高校再編対象の高田・大船渡東 地域住民23人が出席 修正案巡り県教委と意見交換

▲ 第3期県立高校再編計画の修正案を巡り、地域住民と県教委が意見を交換

 県教育委員会による「今後の県立高校に関する意見交換会」は15日夜、大船渡市盛町のシーパル大船渡で開かれた。気仙を中心に23人が出席し、県教委が先月公表した「第3期県立高等学校再編計画(修正案)」を巡って意見を交わした。同計画で募集停止案が示されている高田・海洋システム科(定員40人)と大船渡東・食物文化科(同)の今後については、県教委に存続に向けた方策をただす出席者もあり、要望も交えながら地域に学びを残すためのあり方を探った。(三浦佳恵)

 

 意見交換会は、策定に向けて作業を進める第3期再編計画(令和8~17年度)に対し、県民から意見を聴取しようと県内各地区で開催。沿岸南部地区は気仙3市町、釜石市、大槌町を対象とし、8月の当初案公表時に続く2回目の実施となった。
 この日は23人が出席。冒頭、県教委事務局の松村達局長のあいさつに続き、西川信明高校改革課長が修正案の概要を説明した。
 第3期計画のうち、気仙で再編対象となっているのは高田・海洋システム科と大船渡東・食物文化科。生徒数の減や、専門教員の確保が難しいことなどを理由としている。
 修正案では海洋システム科を10年度に、食物文化科は12年度に募集を取りやめ、海洋システムと食物文化の調理師養成施設を宮古水産に集約する計画。食物文化の家庭の学びは、大船渡東・農芸科学科で維持する考えだ。
 意見交換では7人が発言し、質問などには西川課長が対応。募集停止対象となった気仙の2学科について、存続を求める意見が多くを占めた。
 出席者の一人は、「修正案を再度修正し、見直しをしながら食物文化科の存続を。また、海の町でもあり、海洋システム科も検討をしながら存続してほしい。宮古に集約しても、この辺は気仙沼市の水産高校の方が近い。そういった部分も含め、岩手県の教育が損なわれることのないよう考えてほしい」と要望した。
 他の出席者は「地元とすれば存続してもらいたい。先生の確保にもっと、全力を尽くしてほしい。食物文化科は東高の中でも生徒数が多く、その分が減ると絶対数も減少し、将来的に東高の存続が危うくなる。それを防ぐためにも食物文化を残してもらいたい」と求めた。
 食物文化科については、「県立高校の運営を地域と一緒にやっていかなければならないのだろうと感じる。存続のために、大船渡市に講じてほしいことを具体的に教えてほしい」と問う声も。
 西川課長は「教員の採用が一番のネックになっているのは間違いない。教員の採用、非常勤講師になるのかは分からないが、市として確保ができるのであれば、何かしら考える余地がある」などと答えた。
 また、別な出席者からの同様の質問に対し、西川課長は「地元市町村に求めたいのは、高校に入っていき、いろいろな助言、アドバイスをすること」と、地域と一緒に学校づくりに取り組んでいく必要性を強調。
 生徒の確保、新たな学校の魅了づくりとして県内で実施校が増えている「いわて留学(県外募集)」については、「長いスパンでみれば必要。東京の一般社団法人が運営する地域みらい留学にエントリーするには費用がかかるが、県内の何校かはそれをせずに実施している」と具体例を示し、「必ずしも市町村の予算措置で地域みらい留学にエントリーしなくてもいい。東高の場合は他県ではなく、県内の他地域から生徒を呼び込む取り組みもできるのではないか」と助言した。
 このほか、出席者からは「将来的に学級数が削減されても必要な教員が配置され、医系や難関大学への進学を希望する生徒が地元で学べるよう、大船渡高での単位制導入を早めに推し進めてほしい」「沿岸は医師不足が大きな課題。ぜひ沿岸の高校に医系コースを設けてもらいたい」と、普通科の進学支援体制充実を求める声も寄せられた。
 松村局長は「いただいた意見を踏まえながら、最終案の策定を進めたい」と話していた。
 県教委によると、気仙では修正案を踏まえて希望団体などで行う出前説明会の予定はなく、地域から直接意見を聴取する場は今回の意見交換会が最後となった。
 今後、県教委は県内各地区で開く意見交換会や地域検討会議での協議内容を踏まえ、来年2月に最終案を取りまとめる計画。県議会2月定例会を経て、3月下旬から4月の策定を目指す。