強み生かし取り組み展開へ 市と中央大が包括連携協定 農業分野フィールドワーク実施も検討
令和7年12月18日付 7面
陸前高田市と中央大学(本部・東京都)は17日、地域課題の解決、地域活性化を目的に、包括連携協定を締結した。大学内への設置を構想している新学部の農業分野を中心とした学生フィールドワーク実施を含め、双方の強みを生かした幅広い分野の連携を描く。佐々木拓市長が掲げる選挙公約「大学誘致」に絡む展開でもあり、市長は「学生に幅広い現場を体験してもらい、学んでほしい」と述べた。(高橋 信)
協定締結式は市役所で行われ、河合久学長、佐藤信行副学長、佐々木市長、石渡史浩副市長、山田市雄教育長、両者連携の橋渡しをした陸前高田しみんエネルギー㈱の小出浩平取締役会長らが出席。河合学長と佐々木市長がそれぞれ協定書に署名した。
連携事項は▽市の施策推進、地域・社会全体の課題解決▽まちづくり、地域活性化▽生涯学習▽学生の地域活動への参加▽産官学の連携▽教育、文化、スポーツ▽人材育成▽その他必要な事項──の8項目を掲げる。
農業分野をメインとしたフィールドワークは、同大が設置構想中の「情報農学部(仮称)」による実習として行う計画。
同大によると、同学部は現段階で令和9年4月の開設を目指しており、定員は1学年300人規模を想定。フィールドワークは2年時の必修科目に位置づける見通しで、学生が陸前高田市を含む複数の受け入れ地に分かれ、1期6週間のプログラムを年4回実施する方向で検討している。
フィールドワークは、早ければ10年の開始を見込む。大学側はこのフィールドワークだけでなく、来年以降、市と連携した取り組み実施を目指し、協議を進めていくこととしている。
佐々木市長は5年2月の市長選の公約の一つに「大学誘致」を掲げている。9月に行われた市議会定例会の一般質問で、市長は「現在、ある大学が市内で学生の正規科目として一定期間のフィールドワークを行う方向だ。多くの学生が市内に滞在しながら、種々の事業活動、生産活動を体験する見込みとなっている」と説明していた。
佐々木市長は締結式で「協定は中央大学と市におけるこれからの幅広い連携、発展関係の土台となるもの。農業分野を中心にフィールドワークを実施することとなっており、学生が生産現場の皆さんと汗をかくことを楽しみにしている。われわれが復興の過程で取り組んでいる営農型太陽光発電などを含めて幅広い現場を体験し、学んでいただきたい」と期待を込めた。
河合学長は「自然環境に恵まれ、震災からの復興を通じた新たなまちづくりによって未来へと歩み続ける陸前高田市との連携を実現することは大きな意味を持つ。市が持つ豊かな地域資源と、大学が有する教育、研究、人的ネットワークの相互連携を図ることで新たな価値の創出を目指していきたい」と展望する。






