郷土食囲み〝有終の美〟 「てんこもりの会」(日頃市町) 20年余りの活動に幕 家庭料理の継承・発展に成果(別写真あり)
令和7年12月18日付 3面
古くから伝わる郷土食の普及や、新しい地元食の開発を目指そうと、大船渡市日頃市町内の女性地域住民が中心となって20年以上にわたり活動してきた「てんこもりの会」(休石璀子代表)が、解散を決めた。メンバーたちは、食文化の継承・発展に取り組んできた成果でもある手作りの料理を囲み〝有終の美〟を飾った。(佐藤 壮)
懇親に合わせ郷土食のくるみもちなどを用意
同会メンバーら約20人が14日に日頃市地区公民館に集まり、これまでの事業報告や収支決算を承認。同会が担ってきた食にちなんだ活動は今後、住民らの意欲に応じて、ひころいち町まちづくり推進委員会の中で取り組む流れを確認し、全会一致で解散を決めた。
活動初期から代表を務めてきた休石代表(90)には長年の功績をたたえ、花束が贈呈された。出席会員全員で記念写真に収まったほか、椿油けんちん汁やくるみもち、干し柿など、メンバー手作りの郷土料理を囲み、談笑を楽しんだ。
日頃市町内では平成14年から、地元住民や企業、市、大船渡地方振興局などで構成している「座・ひころいち世話人会」が、全世帯を対象に地域や家庭に伝わる自慢の料理を尋ねるアンケートを実施。寄せられたアイデアをもとに、100種類以上に及ぶ「日頃市食」レシピを作成。調査や料理の再現活動を重ねた。
てんこもりの会は、こうした活動の〝復習〟に加え、子どもから高齢者まで幅広い世代に好まれる郷土食を生みだそうと、16年に結成された。会員は町内に在住する女性で、48人からスタート。毎月第3土曜日に集まり、季節に合わせた郷土食を学び、交流を深めてきた。
27年には、10周年を記念した立食パーティーを開催。その後も「五葉湖畔のつどい」参加や餅づくり講習会などを開催してきたが、30年8月から行事等の実施はなかった。今年に入り、2月に発生した大規模林野火災の見舞金として市に5万円を寄付した。
休石代表は「日頃市の食に関するレシピ集を完成させたことが大きな思い出。自分が立ち上げにかかわったので、私も90歳になり、自分で区切りをつけたい思いがあった。安心して終えることができる」と話し、笑顔を見せた。






