命や伝承の大切さ考える 高田第一中3年生 「語り・継ぎトランプ」を通じて
令和7年12月19日付 7面
陸前高田市高田町の高田第一中学校(佐藤学校長、生徒154人)で17日、3年生50人を対象にした復興教育の授業が行われた。岩手大学教職大学院が手掛けた「語り・継ぎトランプ」を活用し、生徒らがゲームを通して命の価値や記憶の伝承の大切さについて考えを深めた。
同校では、東日本大震災からの教訓や防災などについて学び、生徒同士で共有する取り組みを学校を挙げて展開している。今回は、道徳の授業の一環として、語り・継ぎトランプを扱った。
このトランプは、高度な専門性と実践力を持つ教員を養成する同大学院が、開講科目「いわての復興教育の実践と課題」の中で制作したもの。県教委が「いわての復興教育プログラム」で掲げる教育的価値「いきる・かかわる・そなえる」について、トランプゲームの「七並べ」で遊びながら学ぶことができるアイテムとなっている。
授業に臨んだ生徒らは、5、6人ずつのグループでゲームを開始。各カードに書かれている「夢をもって生きる」「自助と共助で地域を守る」「そなえ無くして防災ならず」などの文言を口にしながら机に並べていき、マークごとにテーマが異なることへ気づきを得た。
ゲームのあとは、各カードに記されているQRコードを電子タブレットで読み込み、文言に関わる動画やホームページを視聴、閲覧。災害時あるいは事前に求められる「いきる・かかわる・そなえる」という心構えに加え、記憶や教訓について末永く語り継いでいくことの意義を改めて考えた様子だった。
この日は、同大学院の特任教授で、平成30年開校の同校の初代校長でもある小野寺哲男さん(60)が授業の見学に足を運んだ。「思いは高田第一中の校長時代から変わらない。生徒たちにはこうした学びを通じて、守られる側から守る側に、助けられる側から助ける側の人間に成長してほしい」と願った。
菅野晴音さん(3年)は「陸前高田は震災で被災したが、私たちは当たり前の日常を送れている。そのことが幸せであるということ、周囲に守られながら生きているということを自覚する時間になった。これからも陸前高田を大切に思い、私にできる社会貢献をしていきたい」と話していた。
(阿部仁志)






