「地域展開」の方向示す 中学校の部活動巡り 検討委員会が始動

▲ 部活動の地域展開の方向性が示された検討委員会

 生徒たちの文化・スポーツ活動を従来の学校単位から広げて地域ぐるみで支えようとする部活動の「地域展開」に向け、18日夜に住田町で第1回の検討委員会が開かれた。この中で町教委は、住田中学校の女子バレーボール部とソフトテニス部について、他の部活動に先行して令和8年度から学校の部活動と地域クラブ活動を両立させていく考えを示した。10年度からは各種部活動が地域展開に移行することとしており、地域全体で生徒の活動をサポートしていく。(清水辰彦)

 

 部活動の地域展開は、急速な少子化が進む中で生徒が将来にわたって継続的にスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を確保し、充実させることを目的とした取り組み。これまで学校単位で行われてきた部活動を、地域全体で関係者が連携して支える仕組みに移行していく。
 令和4年12月にスポーツ庁、文化庁から「学校部活動および新たな地域クラブ活動のあり方等に関する総合的なガイドライン」が示され、部活動の地域展開は7年度までが改革推進期間、8年度から10年度が改革実行期間の前期、11年度から13年度が後期とされている。
 地域展開に向け、同町では今年1月に準備委員会を開催。今月18日には世田米の農林会館で、第1回の町立中学校部活動地域展開検討委員会を開いた。
 同委員会は中学校長、小中学校PTA、町体協、町スポーツ少年団、野球、バレーボール、陸上競技、バスケットボール、ソフトテニスの各協会、中学校部活動の育成会の代表者らで構成。同日は事務局の町教委含めて約20人が出席した。
 はじめに、松高正俊教育長が「連携しながら、生徒たちがスポーツ活動に継続して取り組める機会を確保していきたい」とあいさつ。委員会の会長には町体育協会の佐々木豊秋会長、副会長には住田中の遠山秀樹校長を選任した。
 引き続き、事務局が小中学校のスポーツ活動の現状や住田中学校の部活動地域展開の方向性について説明した。
 説明によると、8年度から同校女子バレーボール部とソフトテニス部は学校部活動と地域クラブ活動を両立。女子バレーは、令和3年に設立されたクラブチーム・住田ヤングバレーボールクラブ、ソフトテニスは発足24年目を迎えた住田ソフトテニススポ少が、それぞれ受け皿となる。休日や平日夜が地域クラブとしての活動となり、中体連主催大会には地域クラブ活動名で参加する。
 軟式野球部、男子バスケットボール部、総合文化部、特設陸上部は学校の部活動のみとなるが、10年度から地域展開に移行する方向で検討している。
 この日の委員会では町教委が示した方針への反対はなく、子どもたちの健康づくり推進を期待する声も寄せられた。
 松高教育長は「子どもたちのスポーツの機会を町として確保できるよう努めていく」と話し、少子化による生徒数の減少で単独チームを組めない部活動もある中、「近隣市にも連携を呼びかけながら、持続可能なあり方を探っていきたい」と見据える。