「良い品を安く」活気創出 大船渡市魚市場でおおふなと産直海鮮まつり 地元内外の学生らアワビPRに奮闘(別写真あり)
令和7年12月23日付 7面
大船渡市大船渡町の市魚市場内特設会場で21日、第11回「おおふなと産直海鮮まつり」(同実行委員会主催)が開かれた。食料品価格の高騰が続く中、地元事業者は海産物をふんだんに用意するとともに、安価で提供し、活気を創出。会場では野菜や正月用品、軽食の販売も人気を集めたほか、地元内外の学生らによるアワビの魅力発信に向けた試食提供や販売もにぎわいを見せた。(佐藤 壮)
実行委員会(及川廣章委員長)は、大船渡魚市場買受人組合の構成業者などで組織。東日本大震災時に寄せられた支援への感謝と水産業再興への願いを込め、平成26年に初めて開催。翌年からは師走恒例のイベントとして定着し、コロナ禍での休止を挟みながらも11回目の開催を迎えた。
魚市場施設を会場とし、イクラや新巻きザケ、カキ、ホタテ、タコ、アワビなどの水産加工品に加え、食肉加工品や軽食などを用意した30業者以上が参加。午前8時の開幕前から続々と市民らが訪れた。
パック入りの生鮮品や詰め合わせのセット、〝激安〟の冷凍水産品にはすぐに人だかりができたほか、正月用品や花、果物などもあり、多彩な品ぞろえに。普段は魚類が並ぶ場内に多くの市民らが訪れ、活気が広がった。
業者側も「きょうは採算度外視」「問屋価格だよ」などと声を上げながら、商品をアピール。マグロの切り身などを販売した渋谷水産の渋谷徹さん(75)は「お祭りだから、こちらも少しでも安く売って盛り上げたい」と話していた。
会場では、大船渡商工会議所による「『あわび王国大船渡』情報発信事業」事業の一環で、大船渡東高校食物文化科3年の「食のchallengeコース」に所属する生徒たちが、昨年に続き「としるの貝がら焼き」「としる醤油の焼きおにぎり」を提供。会場に設けた炭火焼きで調理して香ばしさを広げるとともに、接客やアンケート収集などを通じて来場者と交流を深めた。
接客を担った大久保優愛さんは「『としるとは何』って質問をしてくれる方もいて、関心を高めることができたと思う。私たちが作ったものを食べてもらえるのは励みになる」と笑顔を見せた。
また、帝塚山学院大学(大阪府)の学生たちは大船渡東高校と共同で開発したレトルト商品「再興あわびカレー」を販売。同大大学院人間科学研究科修士1年の増田由季さん(23)は「大船渡市大規模林野火災の復興支援に向けて生まれたもの。スープカレーで特別感を出したくて海鮮ベースにして、アワビの食感などを生かした。復興や名産品の普及に貢献できれば」と期待を込めていた。
実行委の及川委員長(69)は「お歳暮、正月用品いずれの目的でも買い物できたのでは。例年以上のにぎわいとなった。来年以降も続けることができれば」と話していた。





