広い宇宙へ思いはせる 市立博物館 15年ぶりの星空観察会(別写真あり)
令和7年12月23日付 6面
陸前高田市立博物館(菅野義則館長)主催の「星空観察会」は20日夜、同館で開かれた。東日本大震災後初で15年ぶりの開催。参加者が、同館展望デッキに設置された望遠鏡で冬のこの時期に見える星々を観察し、広い宇宙へ思いをはせた。
天体への興味や関心を高めることを目的とした星空観察会。震災前は旧博物館前で毎年実施された恒例行事だったが、大津波で中心市街地が壊滅的被害を受けてからは中止の状態が続いていた。令和4年11月に現在の博物館が開館し、天体望遠鏡の寄贈を受けるなど観察会を再開する体制が整い、この時期の開催となった。
今回は冬の星空がテーマで、職員を含め幅広い世代の住民20人余りが参加。星に詳しく、震災前から観察会で講師を務めていた気仙町・金剛寺住職の小林信雄さん(65)が解説した。
開始時点ではあいにくの曇り空で星が見えず、館内で季節ごとの星座を知る講座や、同館が所蔵する隕石を間近に見る体験が行われた。
その後、行事を終えようとしたタイミングで夜空に星が輝き始め、展望デッキに移動して観察会を続行。二つの天体望遠鏡を使い、オリオン座の方向に見えるオリオン大星雲や、土星や木星といった惑星を見た参加者の喜びの声がこだました。
この夜、土星は周りを公転する環をほぼ真横から眺める状態となり、まるで「串を刺した団子」のような様子。木星は代表的な四つの衛星のうち三つを確かめることもでき、参加者が、観察会ならではの〝一期一会〟を楽しんだ。
佐々木満穂さん(高田小1年)は「木星の周りの星が見えた。最初は星が見られないと思ったけど、見られてうれしい」と笑顔を広げた。
震災後、観察会の再開を待ち望んでいたという同館の熊谷賢主任学芸員は「やっとここまできたという気持ちで、本当にうれしい。彗星や月食などの天体現象に合わせた観察会も今後考えていきたい」と見据えていた。






