2025気仙この一年/記者の取材ノートより①災害・復興 未曾有の大規模林野火災 津波警報発令でも緊張走る
令和7年12月23日付 1面
令和7年も残すところ1週間余り。気仙では、東日本大震災の発生から14年を迎える中、大船渡市大規模林野火災が発生し、住宅再建や森林再生の動きが始まった。一部回復の兆しも見られたが主要魚種の不漁は続き、長引く物価高騰も住民生活に影を落とした。一方で、米大リーグ・ドジャースの佐々木朗希投手の活躍をはじめ、明るい話題も。この一年の出来事を、記者の取材ノートから振り返る。(文中年齢や肩書などは当時のもの)
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住家や産業全般に被害、影響長期化/大船渡
気仙では2月、林野火災が相次いで発生。19日に三陸町綾里の田浜下地内から出火し、延焼は324㌶に及び25日に鎮圧。同日に陸前高田市小友町柳沢地内で出火すると、隣接する末崎町にまで延焼が拡大した。26日正午の鎮圧宣言から1時間足らずで、赤崎町合足地内で火災が発生。強風、乾燥下で延焼が拡大した。
綾里地区全域と赤崎町の大部分、三陸町越喜来の甫嶺地域に避難指示が出た。自衛隊や消防関係者らによる懸命の消火活動が展開され、発生12日目の3月9日に鎮圧、41日目の4月7日に鎮火が宣言された。延焼面積は3370㌶で市の面積の1割を超え、平成以降の林野火災で国内最大規模となった。
綾里地区で男性1人が死亡し、建物被害は226棟。建設型の仮設住宅団地は旧綾里中に19戸、旧蛸ノ浦小に7戸整備され、5月に入居が始まり、全避難所が閉鎖された。
森林被害は59億3922万円。定置網焼失やアワビ養殖施設の停電によるへい死など影響は広範囲に及び、産業全体では102億円を超えた。
被災建物の公費解体は今月19日までに現地作業が終了。被災した人工林所有者に対する意向調査では、国の激甚災害指定に伴う森林災害復旧事業の導入希望は784㌶に及ぶ。膨大な作業量に対応する事業期間やマンパワー確保、事業を導入しない森林の対応など課題は多岐にわたる。
7月と12月に津波警報発令
気仙には今年、津波警報が2回出された。1回目は7月30日にロシア・カムチャツカ半島付近で発生した巨大地震によるもので、遠地地震のため揺れはなかったが、大船渡で40㌢の津波を観測した。
2回目は今月8日の深夜に起きた青森県東方沖を震源とする地震で、気仙3市町は震度3の揺れがあり、大船渡で20㌢の津波を観測。翌9日、内閣府と気象庁は大規模地震発生の可能性が平時よりも高まっているとして、初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表。1週間にわたる警戒が続いた。
津波全壊の吉田家住宅が復旧
陸前高田
東日本大震災で全壊し、陸前高田市が復旧した気仙町今泉地区の県指定有形文化財「旧吉田家住宅主屋」は5月に開館した。震災後の市によるハード面の復旧事業は同主屋で完了した。






