「気仙小枝柿」今年も全国へ JAおおふなと 猛暑やクマ被害など生産量に影響 品質は上々 今季販売開始(別写真あり)

▲ 冬の味覚「気仙小枝柿」の販売開始を祝う生産者ら

 大船渡市農業協同組合(猪股岩夫代表理事組合長、JAおおふなと)による「気仙小枝柿」販売開始式は25日、大船渡町のJAおおふなと本店で開かれた。今季は猛暑や水不足に加え、クマによる食害も生産量に影響し、販売目標は前年度を下回る数量1100㌔、金額200万円を掲げる。例年になく厳しい生産環境となったにもかかわらず、商品は上々の仕上がりになったといい、出席した関係者らは丹精込めて生産、加工した冬の味覚・気仙小枝柿が全国各地で愛されるよう願いを込めた。(三浦佳恵)

 

 販売開始式には、生産者や市農協、県、同市の関係者ら10人余りが出席。猪股組合長は「安心、安全で上質な気仙小枝柿を全国各地へ届け、食べた方には必ず満足してもらえるものと確信している。今後も生産部会とさらなる連携強化を図り、気仙小枝柿を全国に発信していく」とあいさつした。
 JAおおふなと小枝柿生産部会の千葉喜美夫部会長(77)は、クマ被害による生産への影響、生産者の高齢化が進む中での担い手確保の必要性などに触れ、「ブランド化された気仙小枝柿を何とか残していきたい」と力を込めた。
 続いて、出席者全員で乾杯を行い、販売開始を祝うとともに商品が気仙内外から親しまれるよう祈念。この日から予約者らへの商品発送を開始した。
 小枝柿は、気仙地域で育つ種なし柿を加工して干し柿にしたもの。晩秋から冬本番の冷え込みを生かして自然な甘みを引き出しており、古くから地域住民らに愛されてきた。
 市農協では、平成23年の東日本大震災で加工場などが被災したため、26年に国の「農山漁村活性化プロジェクト支援(復興対策)事業」により、農産物処理加工・集出荷施設や生産機械を刷新。キリン㈱の「復興応援キリン絆プロジェクト」による支援を受け、名称を従前の「三陸ころ柿」から「気仙小枝柿」に変更した。
 現在は地元をはじめ、首都圏や関西にもファンがいるほどの人気商品に。ブランド名も定着している。
 一方で、近年は夏の猛暑が続き、今年は水不足、さらにはクマによる食害が生産に大きな影を落とした。千葉部会長や市農協によると、自然落果が目立ったほか、気温の影響で適期収穫ができなかったケースもみられたという。このため、販売目標は数量、金額とも前年度を下回った。
 干し柿への加工については、暖かい日が続き、柿の水分を抜くのに時間がかかったものの、品質は良好としている。千葉部会長は「柿作りは手間暇がかかるもの。苦労して作った気仙小枝柿を、全国の方々に味わってもらえれば」と話していた。
 商品(価格は税抜き)は、贈答用の「気仙小枝柿プレミアム」が12個入り3900円、8個入り2700円。「気仙小枝柿」箱入りは15個入り3300円、10個入り2300円。フードパック(1パック170㌘)6パック入り箱は3300円。
 予約は気仙のJA各支店と陸前高田市総合営農指導センターで受け付け、県内は郵送、気仙管内は配達する。
 問い合わせは、同組合営農部営農企画課(同センター内、℡22・7520)、または最寄りの各支店へ。