鳥獣から児童を守ろう 横田小PTA 学校周囲に電気柵設置(別写真あり)

▲ 電気柵の設置に取り組む保護者ら

 鳥獣から子どもたちを守ろうと、陸前高田市横田町の横田小学校PTA(菅野勝会長)が、同校周囲を囲う電気柵を設置した。総延長は約500㍍。正門には地元事業者が無償で金網の扉を取り付けた。本年度はクマの出没が相次ぎ、同町ではイノシシの目撃情報も増えている。学校の安全を強化するべく、保護者が力を合わせて作業した。(高橋 信)

 

金網の扉を設置した畠山さん

 設置作業は21日に行われ、保護者約20人が参加。校庭を含む学校全体を囲うように、高さ約2・5㍍の支柱250本を等間隔で立て、上部に電線を張り巡らせた。孫が同校に通っている住民数人も協力し、支障木の伐採などに汗を流した。
 電力は校庭の西側に設置した太陽光パネル1枚の発電で全て賄い、24時間通電する。蓄電池も置き、雨や曇りの日が数日続いても電気が流れるようにした。
 物品の購入費は、市と横田地区コミュニティ推進協議会からの補助金を充当した。
 正門には今月上旬、㈱畠山林業会長の畠山康男さん(69)が金網の扉を設置。町内でイノシシが出没したことを受け、10月ごろ、畠山さんが正門にネットをかけていたが、対策の強化と楽に出入りできるようにと車輪付きの扉に替えた。
 畠山さんは「校庭で友達と伸び伸びと遊ぶことは、心の成長につながる。その環境の安全を確保することは親や地域の役割でもあり、当たり前のことをしたまで。クマやイノシシが子どもを襲うようなことだけはないようにしたい」と話す。
 市内における本年度のクマ目撃情報は、11月末時点で前年同期の2・6倍となる57件。10~11月の秋季は37件と全体の65%を占める。横田町ではイノシシの出没も相次ぎ、今月行われた市議会定例会の一般質問や横田地区市政懇談会でも取り上げられた。
 菅野会長は「人的被害があってからでは遅く、設置できてまずは一安心。たくさんの保護者が参加し、さらに学校に孫が通う方々にも協力してもらい、大変感謝している。子どもたちが安心して校庭で活動できる環境形成につながればうれしい」と語った。