「大火起こさない」行動を 林野火災注意報・警報1月1日運用開始 気仙3市町 少雨、乾燥、強風の状況で発令
令和7年12月27日付 1面
気仙3市町で1月1日(木)から、林野火災注意報・警報が運用される。2月26日に発生した大船渡市大規模林野火災の教訓を踏まえた国の通知に基づき、警報時は罰則付きで屋外での火の使用等を制限。発令は少雨、乾燥、強風の各気象状況で判断する。各消防機関では今後、広報・啓発に力を入れ、住民らの理解・協力を呼びかける。
発令基準は、注意報が「前3日間の合計降水量が1㍉以下で、前30日間の合計降水量が30㍉以下」「過去3日間の合計降水量が1㍉以下で、乾燥注意報が発表」のいずれかに該当する場合。降水が見込まれ、積雪がある場合は発令しないこともある。
期間は1~5月。警報は、注意報の発令指標に加え、強風注意報が出ている場合となる。
注意報時は、林野火災発生の危険性を踏まえ、火の使用制限に従うよう求める。具体的には▽山林や原野で火入れをしない▽花火や火工品を使用しない▽屋外で火遊び、たき火をしない▽山林や原野で喫煙をしない▽たばこの吸い殻を含む残火や灰、火の粉を始末する──などを呼びかける。
注意報時における火の使用制限は努力義務だが、警報時は消防法に基づき、30万円以下の罰金または勾留の罰則が発生する。
大船渡市と住田町を管轄する大船渡地区消防本部では、運用を知らせるチラシを作成。発令時の行動として▽火の取り扱いに十分注意する▽火災を見つけたらすぐ通報する▽延焼の危険がある時は早めの避難を▽最新情報を確認する▽地域で声を掛け合う──を挙げる。
火の取り扱いでは、草刈り機やチェーンソーの火花にも注意を喚起。通報では小さな火でも「119番」を呼びかけるほか、無理な初期消火はせずに安全を最優先に行動するよう求める。日頃から燃えやすいものは建物から離すことや、1人暮らしの高齢者にも声をかけて安全確認するよう促す。
毎日午前5時の気象台の情報をもとに発令を判断し、大船渡市内では注意報と警報、住田町内では警報時に防災行政無線で周知を行う。発令時は、組合のホームページや消防車両での巡回などで周知、広報を進める。
同本部では「林野火災の主な原因は、人為的な要因によるもの。発令中は『火を使わない・出さない・広げない』を合言葉に。あなたの注意が、森とまちの安全を守る」としている。
大規模林野火災が発生した2月26日の大船渡市は、同13日ごろから1日の最小湿度が35%前後と空気が乾燥した状態が続き、同18~26日には乾燥注意報が発表されていた。同日には強風注意報も出ており、来月から運用される林野火災警報基準に該当する。
8月に「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会」が取りまとめた資料によると、令和4~6年発令基準に該当する市内の平均日数は、市内では注意報が52日で、警報が15日だった。
注意報の該当は、1月が16日、2月が12日、3月が8日、4月が5日、5月が3日、11月が2日、12月が6日。警報は1月が5日、2月が3日、3月が1日、4月が3日、12月が3日で、冬~春に集中している。






