2025気仙この一年/記者の取材ノートより⑦事件・事故 気仙初の緊急銃猟実施 高額の特殊詐欺被害も

▲ 緊急銃猟に伴い現場周辺では通行制限措置がとられた=大船渡市末崎町(今月4日)

クマ出没が大幅増

 

 今年のクマの出没認知件数は、今月25日現在で大船渡市163件、陸前高田市58件、住田町73件となった。人里に出没したクマが長期間居座る事態も発生し、気仙で初めての緊急銃猟が大船渡市で実施された。
 陸前高田市では11月、竹駒町の滝の里地内で数日間クマの目撃が相次いだ。市が朝晩の外出を極力控えるよう注意喚起したほか、警察などによる巡回が続けられた。
 また同月は、大船渡市末崎町上山地内周辺で、およそ3週間にわたって連日クマが出没。住民に加え、付近の福祉施設では自動ドアを締め切るなど、対策に追われた。
 通報があるたびに追い払いが行われてきたが、市は緊急銃猟実施の判断要素である膠着状態に当たると判断。緊急銃猟が実施された12月4日には、現場周辺で通行制限措置がとられ、ハンターが体長約1・2㍍、体重約120㌔のメス1頭を駆除した。


詐欺被害認知3市町で11件

 

 大船渡警察署管内では11月30日現在、特 殊詐欺を8件、SNS型詐欺を3件認知した。詐欺に関する相談も多く寄せられており、気仙各地で被害防止へ向けた広報活動が展開された。
 4月下旬ごろから6月上旬ごろにかけては、大船渡市の70代女性が約1850万円をだまし取られる被害が発生。「あなたの電話番号が犯罪に使われている」という旨の電話を受け、金融調査の名目で指定された口座に複数回にわたって現金を振り込んだ。
 4月には、陸前高田市の20代男性が、警察を名乗る者から犯罪に関わった疑いがある旨の連絡を受け、調査の名目で現金をだまし取られており、年齢層を問わず被害が生じている。
 電話などで警察等をかたる「オレオレ詐欺」は、全国的に被害が急増しており、主に「+」から始まる国際電話番号や、警察署に見せかけた下4桁「0110」の電話番号が犯行利用されている。


3件の交通死亡事故、物損も増加

 

 同署管内では今月25日時点で3件の死亡事故が発生。前年と比較して件数は2件、死者は1人、いずれも増加した。
 大船渡市では、5月に赤崎町蛸ノ浦の県道大船渡綾里三陸線で、軽乗用車が中央線をはみ出し、対向車線を走る車と正面衝突。軽乗用車を運転していた70代男性が死亡したほか、同乗していた男性の妻も重傷を負った。また、今月20日には盛町字内ノ目の県道丸森権現堂線で、夜間に道路を横断していた70代男性が車にはねられて死亡した。
 陸前高田市では、9月に気仙町字湊の臨港道路で普通乗用車が擁壁に衝突し、運転していた20代女性が死亡した。
 今月25日時点の管内の人身事故は53件(前年同期比8件減)と減少した一方、物損事故は大船渡市で大幅に増加して956件(同120件増)となった。


住田の住宅火災で死者

 

 大船渡地区消防組合消防本部と陸前高田市消防本部によると、今年の火災発生件数は今月25日現在で大船渡市4件、陸前高田市11件、住田町2件だった。
 このうち、建物火災では1月に住田町世田米で住宅や物置が全焼する火災があり、居住する80代男性が亡くなった。8月には陸前高田市横田町で住宅と倉庫を全焼する火災があり、居住する90代男性がやけどを負った。
 このほか、大規模林野火災を受けて、気仙3市町では1月1日(木)から林野火災注意報・警報の運用開始が決まった。少雨や乾燥などの条件で発令され、火の使用に努力義務や消防法に基づく罰則が定められることから、消防関係者が火の取り扱いへの注意を呼びかけていく。