新年の漁況好転願って 市魚市場が年内最終営業 200㌔に迫るクロマグロなど(別写真あり)
令和7年12月30日付 1面
大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)が運営する大船渡市魚市場は、28日に年内最後の営業を迎えた。定置網では、200㌔近いクロマグロなどが水揚げされ、一年の締めくくりにふさわしい活気が生まれた。大規模林野火災や環境変化、急潮被害など、さまざまな影響があった水産業。場内では、市場職員や買い受け人らが年内最後の仕事にあたり、年の瀬のあいさつを交わしながら、新年の漁況好転に期待を込めた。
今年最後の水揚げ作業は、午前7時前から本格化。数量は全体的に少なめで、船ではなく車で運んだ漁場も多く、市場職員や乗組員らが選別作業にあたった。
昨年8月に発生した急潮により、経営する2カ統の定置網が被害を受け、今年復活した吉浜漁協の大鮑、横沼両漁場は、船で194~103㌔のクロマグロ3匹やメジマグロを運んだ。青空に銀色の大きな魚体がつり上げられ、関係者の注目を集めた。定置網では、スルメイカも2㌧揚がった。
場内には、年末年始の食卓を彩る時期もののナマコも並んだ。買い受け人らは、なじみの面々と会話を弾ませながら、苦難を乗り越えて「水産のまち」の産業振興を支えた1年間の業務をねぎらい合った。
同魚市場によると、本年度の水揚げ実績(12月28日時点)は、数量が1万5310㌧(前年同期比27・8%減)、金額が45億5464万円(同25・5%減)といずれも減少した。
魚種別では、春のイサダ(3月10日~4月21日)や、令和最多の数量となったサンマは前年を上回る水揚げとなった一方、日曜日に開場して受け入れた巻き網、一本釣りのカツオは、漁況が振るわず、今年は早々に受け入れを終了。多獲性魚種のサバは前年比約4割減、昨年は12月から漁獲が急増したマイワシも、今年は火光利用敷網漁での漁獲がまだなく、前年の1割にとどまっている。
漁業別の定置網は、数量が4642㌧(同45・9%減)、金額が13億1038万円(同19・3%減)。大規模林野火災や急潮で網などが被害を受けた漁場、潮が速く起こせない日も多く、厳しい環境下での操業となった。
佐藤光男専務は「サンマは沿岸を下っていく本来の流れが戻ってきつつあるのではないか。物量が増え、今後の回復の兆しになればいい。定置は大規模林野火災や急潮の影響もあり、振るわなかった。自然が相手でわれわれにはどうにも手の施しようがない部分もあるが、期待して前向きにやっていくしかない」と見据える。
年明けの営業は5日(月)から。営業開始にあたり、恒例の初売り手締め式が行われる。






