年越し準備の住民で活気 三陸駅前で海産物の詰市 越喜来の漁業者ら出店 

▲ 海産物を買い求める住民らで活気とにぎわいを見せた三陸駅前広場

 大船渡市三陸町越喜来の三陸鉄道三陸駅前広場で30日、地元漁業者などによる「年末トラック直送詰市」が開かれた。水揚げされたばかりの海産物や加工品の販売が行われ、年越しや年始の準備で訪れた多くの住民で活気を見せた。
 詰市は、地元の新鮮な海産物を安く提供する機会として、地元住民でつくる実行委が令和5年から企画している。
 この日は越喜来で漁業を営む田村蓄養場、第7天王丸、松丸、中野えびす丸の4業者が、トラックの荷台などを売り場にして出店。会場ではかごいっぱいに積まれた殻付きのホタテをはじめ、袋詰めの生ガキやナマコ、煮アワビなどが販売された。
 新鮮な海産物や規格外品が通常の店舗価格よりも安値で売りに出されるとあって、会場には販売が始まる1時間ほど前から、バケツや大きな発泡スチロールの箱を手にした住民らが集まり始めた。
 販売がスタートする正午には地域内外から訪れた80人以上が列をつくり、こぞって海産物を買い求めていった。漁業者も威勢よく商品を売り込み、にぎわいが広がった。
 あらかじめ用意された海産物の大半が、20分ほどで売り切れる活況となった会場。目当ての品を手に入れた住民らは「焼いたり吸い物にして食べるつもりでいる」と会話を交わしながら笑顔を見せ、それぞれの年越しや新年を楽しみにしていた。
 カキやアワビを購入した末崎町の秋吉照子さん(74)は「盛岡から孫が帰省するので、刺し身や鍋にして食べさせてあげようと思う。年始は、家族と一緒に温泉に行って過ごしたい」と話した。
 このほか、同日は地元の一般社団法人キラキラ越喜来(佐々木イザベル代表理事)が、同駅に隣接する「ニューオキライ」で、年内最後の「オキライヒルズカフェ」も開店した。
 カフェ内では、今年11月に地元の住民らが同駅プラットホームにつるして出来上がった干し柿が提供されたほか、干し柿を使ったケーキや地元のユズを使った「越喜来ゆずティー」などの同日限定メニューも並んだ。
 カフェや会場の各所では、集まった住民らが年末のあいさつを交わす様子が見られ、一年を締めくくる準備がにぎやかに進められていた。