新年に希望と願い込め 気仙各地で迎春準備進む
令和7年12月31日付 7面
年の瀬を迎え、気仙各地の神社・仏閣では初詣の参拝客を迎える準備に追われ、仕出し店などでは縁起物のおせち料理作りが大詰めとなった。災害やそれに準ずる出来事が相次いだ今年の気仙。各所の関係者は明るい新年の到来を願いながら、心を込めてそれぞれ作業に臨んでいた。
平穏な一年を祈り初詣準備
大船渡・天照御祖神社
大船渡市盛町の天照御祖神社(長谷川瑞彦宮司)では30日、神職や関係者らが集まり、初詣に訪れる住民らを迎え入れるための準備作業に追われた。
天神山の高台に鎮座し、天照大御神を祭る同神社。開運や厄よけなどのほか、境内社の天神天満宮は学業守護の御利益もあるとされていることから、初詣には毎年多くの住民や受験を控える中高生らも足を運ぶ。
今年もこつこつと準備を進め、同日は三が日にみこを務める同市出身の吉田夢果さん(18)、大船渡東高3年の紺野碧花さん(18)、藤田琉花さん(18)の3人が、販売するお札やお守り、絵馬などを並べ、元日に備えた。吉田さんは「住民の方々に気持ちよく参拝に来ていただけるように、心を込めて接したい」と意気込んだ。
長谷川宮司(70)は「今年は災いの多い、災害の年だった」と振り返り、「令和8年は、5月に式年大祭も予定している。えとのうまの勢いを借りて、何事もない平穏な一年になれば」と話していた。
心込めたおせち作り大詰め
陸前高田・京亭
仕上げた料理を重箱に丁寧に詰める熊谷店主
陸前高田市米崎町の料亭「京料理 京亭」(熊谷忠行店主)は同日、正月に欠かせないおせち作りのピークを迎えた。
用意しているのは、5人前(3万8000円)、4人前(2万7000円)の各3段重、2、3人前(1万8000円)の1段重の3種類。11月以降、真空パックで長期保存できる品から仕込みに取りかかった。
同店のおせち料理は、一品一品手作りするのがこだわりで、今年も市内のほか、大船渡市、住田町からも注文があった。野菜や海産物に地場産品を多く使うなど地産地消も意識している。
盛り付け作業は30日夜から31日早朝にかけて、従業員の力を結集させて実施。100人以上を収容可能な広間いっぱいに重箱を並べ、手間をかけた料理を丁寧に詰めて配達に臨む。
熊谷店主(47)は「重箱を開けた瞬間に笑顔になってもらえたらうれしい。大規模林野火災で大変な思いをされた綾里地区からも注文をいただいた。家族団らんの一助となるよう最後まで丁寧に仕上げたい」と熱心に詰め作業に当たった。
受け渡しは31日で、配達も行う。問い合わせは、同店(℡54・4433)へ。






