令和7年 きょう閉幕  記者の取材ノートより――総集編  林野火災 空前の規模で爪痕 記録的暑さ、相次ぐクマ出没も

 令和7(2025)年も、きょうを残すのみ。東日本大震災から14年目となった中で大船渡市大規模林野火災が発生し、平成以降国内最大規模の延焼面積に至る大きな爪痕を残した。複数回の津波注意報・警報もあり、災害対応や備えを再確認する機会ともなった。夏の記録的な暑さ、秋に相次いだクマの出没は、住民の暮らしに影を落とした。一方、挑戦の舞台を米大リーグに移した古里の星・佐々木朗希投手の躍動をはじめ、地域に活気をもたらす話題も相次いだ。今年の気仙を月ごとの主なニュースで振り返る。(文中の年齢や肩書きは当時)

 

1 月

 ▽第50回東海社会文化賞に陸前高田市の子ども読書支援グループ「おはなしペパン」が決定
 ▽陸前高田市が政策推進室内に新設した「脱炭素推進室」が始動
 ▽千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(23)=陸前高田市出身、大船渡高出=がMLBロサンゼルス・ドジャースとのマイナー契約に合意したと発表

2 月

赤崎町合足地内で出火した大規模林野火災。強風と乾燥下で延焼が拡大=大船渡市

 ▽大船渡市三陸町綾里田浜下地内で19日に林野火災が発生。焼失面積は320㌶超
 ▽陸前高田市小友町柳沢地内で25日に林野火災が発生。焼失面積は約8㌶
 ▽大船渡市赤崎町合足地内で26日に大規模林野火災が発生。綾里地区全域と赤崎町内の大部分などに避難指示

3 月

 ▽大規模林野火災が発災12日目で鎮圧宣言。避難指示が全域で解消
 ▽東日本大震災から14年、気仙各地で追悼行事
 ▽ドジャースの佐々木朗希投手が東京ドームで行われたカブス戦に先発しメジャーデビュー
 ▽住田町議会が木工団地2事業体の破産にかかる訴訟の和解に同意
 ▽7年度に統合して新生「大船渡中学校」となる大船渡中学校と末崎中学校が閉校
 ▽政府、大規模林野火災を「局地激甚災害」に指定

4 月

「紺紙金字一切経」の実物とみられる経巻が町役場で展示され、反響を呼んだ=住田町

 ▽新生「大船渡中学校」が開校
 ▽大規模林野火災が発生41日目で鎮火宣言。延焼範囲は平成以降の林野火災では最大の3370㌶に
 ▽陸前高田市の高田松原運動公園で5月4日に予定されていた三陸花火大会が資金不足を理由に見送られることが明らかに。ホテル予約キャンセル、関連イベント中止など影響広がる
 ▽住田町内の民家で発見された中尊寺の国宝「紺紙金字一切経」の一部とみられる経巻を町役場で公開

5 月

 ▽ドジャースの佐々木朗希投手がアトランタ・ブレーブス戦においてメジャー初勝利
 ▽気仙各地でクマの出没相次ぐ
 ▽大規模林野火災の被災者向けに整備を進めた建設型応急仮設住宅が完成。全避難所を閉鎖
 ▽東日本大震災で全壊し、陸前高田市が復旧した県指定有形文化財「旧吉田家住宅主屋」が開館。これにより市によるハード面の震災復旧事業が完了
 ▽大規模林野火災の被災建物を対象とした「公費解体」の現場作業に着手

6 月

 ▽大規模林野火災発生に伴い設置した災害対策本部を発災100日目に廃止
 ▽みちのく潮風トレイルルートのうち、大規模林野火災の影響で通行止め措置が続いていた三陸鉄道三陸駅~盛駅の区間が通行可能に
 ▽大規模林野火災で網や作業保管施設が焼損する被害を受けた綾里漁協が定置網漁を再開
 ▽陸前高田商工会と住田町商工会が広域連携に関する協定を締結
 ▽住田町と大船渡市でクマによる人身被害が発生
 ▽大船渡市のコミュニティーラジオ局「FMねまらいん」が閉局

7 月

 ▽県が県内全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」を発表
 ▽住田町長選で現職の神田謙一氏(66)=下有住=が前回選に続く無投票で3度目の当選
 ▽大規模林野火災について「具体的な発火源、出火に至る経過・着火物の特定には至らない」とする消防庁長官の報告書が明らかに
 ▽第27回参議院議員選挙岩手選挙区(改選1)は立憲民主党公認の現職・横澤高徳氏(53)が自民党公認の元職・平野達男氏(71)ら3人を破り再選
 ▽ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする巨大地震が発生。本県沿岸部などに津波警報が発令され、大船渡で40㌢の津波を観測

8 月

 ▽大規模林野火災の「公費解体」に伴い、市が赤崎町の永浜・山口工業用地内の県有地に整備した仮置場の運用が本格化
 ▽文化庁が陸前高田市を含む岩手、宮城両県の6市町で構成する日本遺産「みちのくGOLD浪漫」に大船渡市を追加認定
 ▽大船渡市三陸町綾里地区在住の若者が中心となり、6年ぶりに「綾里夏祭り」を開催
 ▽第3期県立高等学校再編計画当初案で、県教委が高田・海洋システム科と大船渡東・食物文化科を10年度に募集停止とする方針を提示。これに反対する両校関係者・団体などが存続を求める活動を展開

9 月

 ▽大船渡市三陸町吉浜地区の大窪山市有地などで大規模な太陽光発電事業を計画していた自然電力㈱が同事業の継続中止を発表
 ▽大規模林野火災の仮設住宅団地に談話室を整備

10 月

5月に始まったサーモン海面試験養殖の2季目の水揚げ。10月にはニッスイグループ社による事業の本格展開が発表された=陸前高田市

 ▽水産大手㈱ニッスイと陸前高田市が、同社と広田湾漁協が令和5年から試験的に実施してきたサーモンの海面養殖事業を本格展開することを発表
 ▽大規模林野火災の森林被害額が59億3900万円に上ることが明らかに。水産業を含めた産業全体では100億円を超える

11 月

 ▽ドジャースの佐々木朗希投手がポストシーズンに9試合登板。抑えの切り札として活躍し、チームのワールドシリーズ連覇に貢献した
 ▽三陸沖を震源とする地震が発生。本県沿岸部に津波注意報が発令され、大船渡で20㌢の津波を観測
 ▽県教委が第3期県立高等学校再編計画の修正案公表。大船渡東・食物文化科は募集停止時期を10年度から12年度に変更。高田・海洋システム科は当初案のまま10年度に募集停止する方針を提示
 ▽大船渡市と住田町による大船渡地区消防組合議会が、冬~春にかけての強風・乾燥時における林野火災注意報・警報の発令に向け、火災予防条例の改正を可決

12 月

 ▽大船渡市が末崎町内に出没したクマへの「緊急銃猟」を気仙で初めて実施し、1頭を駆除
 ▽大規模林野火災の義援金配分が確定。17億円超が寄せられた
 ▽青森県東方沖を震源とする最大震度6強の地震が発生。本県沿岸などに津波警報が発表され、大船渡で最大20㌢の津波を観測。内閣府と気象庁が初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表
 ▽住田町上有住の滝観洞の事業年度内入洞者が平成3年度以来34年ぶりに2万人を突破
 ▽大船渡市魚市場への今季サンマ水揚げ量が8436㌧となり、令和になってから最多に
 ▽秋サケの大不漁続く。大船渡市魚市場への水揚げ量は過去最低に終わった前年を大幅に下回る実績で推移
 ▽大規模林野火災に伴う被災建物の「公費解体」で現地作業が終了